『不思議の足跡』 | 鈴と空のブログ

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不思議の足跡 最新ベスト・ミステリー (カッパ・ノベルス)/日本推理作家協会
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ジャンルの枠を超越した”逸品”揃い   編纂委員 千街晶之
本書では、ホラーや幻想小説、あるいはSFといった括りは外し、
敢えてタイトルに「不思議」という言葉を用いた。
収録作を見渡すに、ホラーとかSFといったジャンル分けには
収まりきらないような豊饒さが、そこにはあると判断したからである。
これからのミステリの傾向を占う上で必要なのは、
論理か感情か、あるいは光か闇かといった
二者択一を迫ることではなく、両者の共存を認めた上で、
その関係をまるごと問う作業なのである。
本書はそのための恰好のサンプルと言えるだろう。
                 「編纂序文」より
――――― 表紙袖より


伊坂幸太郎   吹雪に死神
石持浅海     酬い
恩田陸      あなたの善良なる教え子より
鯨統一郎    ナスカの地上絵の不思議
桜庭一樹    暴君
柴田よしき    隠されていたもの
朱川湊人    東京しあわせクラブ
高橋克彦    とまどい
畠中恵      八百万
平山夢明    オペラントの肖像
松尾由美    ロボットと俳句の問題
道尾秀介    箱詰めの文字
宮部みゆき   チヨ子
山田正紀    悪魔の辞典
米澤穂信    Do you love me?
――――― 目次より


個人的評価 : ★★★☆☆

若干4つに寄る3つ。


伊坂さん、鯨さん、米澤さんのは前に読んだことあり。

石持さん、桜庭さん、畠中さん、宮部さんあたりは
あちこちでお名前は見ていたものの初めて。


引用した編纂序文にもあるように、
”純粋なミステリ”ではないものがほとんど。
伊坂さんの例の死神やら、幽霊やら。


中にはイマイチ面白さが判らないものだったり
苦手なタイプだと思ってしまったものもいくつか……。
それは具体的には挙げないけど。


好きだったのは恩田さん、柴田さん、朱川さん、道尾さん。


恩田さんのは死刑囚が恩師に宛てた手紙という形。
これはホラー要素もSF要素も特にない。
その手紙の内容自体が異常な内容なので
最後の恩師宛のメッセージが不気味で恐い。


柴田さんのはタイトルと設定だけで先走っちゃって
「どうせこういうオチなんだろうな」と思い込んでしまった。
結果的には大ハズレでもなかったんだけど…。
そこにいたるまでがわりと面白かったので全体的には○。


朱川さんのは、とある悪趣味な集まりの話。
嬉々としながらその会合の準備をしてる人たちを想像すると
やっぱり恐いしどこか歪んでると思ってしまう。
おまけに最後には驚きと嫌悪感とが一層。


道尾さんのもまた気持ち悪い。
小説家の家を「泥棒した」と見ず知らずの青年が
謝罪に訪ねてくるところから始まる話。
結局最後まで青年の目的がはっきりわからなくて
それがものすごく気持ち悪い。


せっかく"ジャンル分けには収まらない”作品集を読んだのに
「好き」だとして挙げたのは
ホラー要素やらSF要素のないものがほとんどだな…。