- フィッシュストーリー/伊坂 幸太郎
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「なあ、この曲はちゃんと誰かに届いてるのかよ?」
売れないロックバンドが最後のレコーディングで叫んだ声が、
時空を越えて奇蹟を起こす。
デビュー第一短編から最新書き下ろし(150枚)まで、
小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。
伊坂作品を彩る名脇役たちが巻き込まれる、
新たな事件の数々―――。
「動物園のエンジン」
深夜の動物園で、毎晩のようにうつ伏せに寝ている謎の男。
彼は、動物園に活気をもたらす、
「エンジン」のような存在だと言うのだが。
「サクリファイス」
副業の探偵職で訪れた山間の村。
行方不明の男を捜すうち、
黒澤は古くから続く奇妙な風習に行き当たる。
「フィッシュストーリー」
『僕の小説が魚だとしたら、その風呂敷と尾鰭の大きさに、
海の魚も陸に上がって未来を語るに違いない』
「ポテチ」 書き下ろし
ニュートンに遅れること300年。
万有引力の法則に気付いた空き巣の青年は、
またしても新たな法則と事実を発見する。
――――― 帯より
【 fish story 】
①ホラ話。大げさな話。作り話。
釣り師が、自分の釣果を実際より誇張して言いがちなことに由来する。
②「僕の孤独が魚だとしたら」という一節で始まる小説のタイトル。
同様のフレーズは、「孤独」の部分の言葉を変えて、
作中に何度か登場する。晩年は廃屋にこもり、
壁に文章を書き続けたといわれる日本人作家の遺作。
③三枚のアルバムを残して解散したロックバンドの、
最後のアルバムに収録されている楽曲のタイトル。
間奏部分に、一分間に及ぶ無音部分があることで、
その是非や意味合いについてが一部で話題となった。
④この本のタイトル。
ある日本人作家の13冊目の著作にあたるが、
②との関係は不明。
――――― 表紙袖より
個人的評価 : ★★★★☆
5つ寄りの4つ。
やっぱり伊坂さんの書く“変わり者”はいいなと思う。
一番好きなのはやっぱり表題作だろうか。
「そんなアホな」って思いながらも「それもいいか」と思ってしまう。
これも映画化される(された?)らしいんだけど
『アヒルと鴨のコインロッカー』の映画ほどには惹かれない。
「僕の…」云々いうのも結構好きだった。
「動物園のエンジン」も
謎に関してはそうたいしたことないかなと思ってしまうけど
登場人物のキャラクターだったりその後だったり、
その部分が結構意外だったり、好きだったり。
確か初めて読んだ伊坂さんは『重力ピエロ』で、
そのときは「イマイチ…」と思ったような記憶があるんだけど
今読むとまた少し違うんだろうか、なんて思ったりもする。