マグちゃん来たりて、煙突⁈(後)
八十九です。
真っ赤なドラゴンが竜胆の作品から飛び出してきてリビン グルームの中の空気感というか密度のようなものが変化しました。
言葉やオノマトペで表現をするのなら『ミシッ…』というような感じです。
「えらいのが出てきたな…」
それが正直な印象でした。
隣の和室に置いてある竜胆の他の作品からも「ピキッ」という音が聞こえて来ます。
「いかんなあ共鳴しとる!!
お前もう少し波動を下げろ」
私はそいつを見上げます。
無言のままで10秒ほどが過ぎたでしょうか、赤い巨龍(ドラゴン)が
『お前の主になってやろうか?』という、ありがたい申し出をくださいました。
まあ、呆れたのですが怒る気にもなれず
「必要ない帰れ」
とだけ言うと、ソファーに腰かけました。
すると今度は『我を使役するか?』と聞いてきます。
「断る。お前なんか支えて生活したら生体エネルギーが足りずに一生”眠りオヤジ”になるやんけ」
『それほど貪らんが…』
「俺には今、白虎が一柱、龍が一柱、玄武が一柱、狐の眷属が二柱、大狼二柱が御入居中なんや!!お前みたいなでかい奴なんて無理。
大体やな、ドラゴンってなんやねん。
出る場所間違ってないか?」
『ああ、そうなのか?地上は始めてで…人間はドラゴンが好きだと思ってた。喜ばんのか?』
「まあ、確かに龍はブームや、でもドラゴンはどうかな」
『龍?龍なら良いのだな。龍になって出直そうか?』
「え?おまえ姿かわるの?」
『ああ、かえれる』
「じゃーお前ドラゴンじゃないの?」
『私はわたしだ』
「いい加減…どこから来た?」
『この星の真ん中』
「内核か?」
『そうだ私の世界は高圧高温で、熱核反応の世界だ』
「え?地球そのものか?」
『その概念は人間的で今のところ理解が難しい。ただ我は・・・』
「まあ、どうでもエエわ。お前が鉄とニッケルの化物として…ここに居座る理由にはならんよ。
帰るのが嫌なら誰か他を探せよ」
『我は、生体のエネルギーというものを一度この体という物に入れてみたいのだ』
「はあ?あかんあかん。体って、それはこの次元に結実させたものではないやろ?」
『そうだ。生体のエネルギーや物理的熱量を得るには、この次元の真上まで降りて来なければならない。
我は、生体のエネルギーを喰ってみたいのだ』
「あかんな!帰りたくないなら、お前に生体エネルギーをくれる人物が現れるまで、物理的熱量を貪ったらどうや?」
『わかった…どこだ?』
「イメージを圧縮通信で送るから、そこから人探しをしてみたらどうや」
『おおお!ここは良いかもしれん、ではまたな』
「いや、もう来んでエエわ」
思念の会話なので、ぐったりでした。
案外すんなりとこちらの提案を受け入れた
どこにいったのか?
実は数キロ先のゴミ焼却場に行って煙突に鎮座したのです。
つづく
本日もご覧頂きありがとうございます😊