国際文化会議 Congreso Cultural de La Habana 1968年1月4~12日ハバナにて開催
・世界70か国から500人以上の芸術家、思想家、文学者、評論家らが参加した文化フォーラム
議長:ホセ・リャヌサ文部大臣
ヨーロッパからの参加者
作家:ミシェル・レイリス、ホルヘ・センプルン、マックス・ポール・フーシェ、アーノルド・ウェスカー他
科学者:ピエール・レーマン、ジォヴォアンニ・ベルリンゲル、アマティ、ヴィジェ他
画家:マッタ、ラム、ピニョン他
社会科学者:ミリバン、ホプスバウム、ゲラン、アクセロス他
中南米・カリブ諸国からの参加者:エメ・セゼール、コルタサール、ベネデティ、シケイロス他
日本:羽仁進、山本薩男、松本清張、見砂直照(東京キューバンボーイズ)他
・テーマ:知識人と第三世界の人民の解放闘争
主要議題:文化と民族の独立、人間の完全なる形成、
低開発世界の問題における知識人の責任、
文化とマス・メディア、芸術創造と科学・技術的仕事の問題
上記5つの問題を討議するため5つの分科会が設けられる。
・キューバ側にとっての中心課題:知識人はいかに革命に奉仕できるか。
・会議の趣旨
知識人に革命の問題を討議するよう呼びかけ、共産党の独壇場に参画するよう促す。
知識人たちが武装闘争への連帯を表明する場となる。
・会議では、広義のマルクス主義および西欧の批評的思想における多様なイデオロギーや知的傾向が表明された。発言の自由は完全に保証されていた。
前年の「サロン・デ・マヨ」同様、多様性の尊重という点でも、知識人の政治参加という点においても、キューバの知識人と西欧知識人とが主張を共有した。
★会議閉幕後にフィデル・カストロが行った総括 (12日)
・米帝国主義という普遍的な敵に対し最も戦闘性を見せたのは知的労働者。
政治団体ではなかった。
・カリブ危機の際、共産主義者は正義の闘いを選ぶより、ソ連からの指令に従った。
・フィデルは(チェの死を引き合いに出し)知識人に革命家としての資格を認める一方、
共産主義者に対して、革命家の資格も可能性も否定した。
・キリスト教とマルクス主義の調和を唱え、革命的暴力を肯定したカトリック神父を賞賛し、
教条主義的なマルクス主義を痛烈に皮肉った。
フィデルの主張:ドグマとか化石化した思想ほど反マルクス主義的なものはない!
あらゆる革命的真理を掌中にしている人間はいない!
・新左翼(少数派)が各国で共産党に対抗するよう促し、彼らに援助と保護を約束。
・新しい〈ゲバラ主義〉世代の台頭を期待。〈第三の共産主義〉の到来を告げる。
5つの主要議題をデザイン化した記念切手
Marysolより
上記のまとめはK.S.カロル著「カストロの道」を参照しましたが、その中の《キューバ側は、自分たちの革命に関する問題や関心事について、どこにも回答を見出せなかったので、知識人がそれに答えることを期待していると説明した。東欧の代表は発言すべきものを何も持っていなかった》という指摘に、小田実(1968年にキューバに滞在しており、72年に『いやし難い記憶(=低開発の記憶)』を翻訳)の指摘が重なりました。
《主人公はどうにかして革命のなかに生きようとする。それでいて、彼はどう生きればよいのか、彼にも判っていなければ、革命にも判っていない。》
それにしても、カロルによれば、当時ヨーロッパの知識人はキューバ革命を「理想の祖国」と見なしていました。その印象は、この会議を通じてますます強まったに違いありません。それほど充実した内容だったし、画期的な会議だったようです。
ところが、このあとの展開は国を挙げての生産力増強へとシフトし、8月の「チェコ事件」を境に、ソ連との対決姿勢は一変します。
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-12277755200.html
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