「苺とチョコレート」近況 | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

映画「苺とチョコレート」(1993年)の脚本をめぐり、同映画を故アレア監督と共同監督したファン・カルロス・タビオが、セネル・パス(原作者で脚本家)を批判する公開状を(Facebookで?)発表しました。原因は、UNEAC(キューバ作家芸術家協会)から出版された「苺とチョコレート」のシナリオの本。そこに書かれているパスの主張に、タビオ監督が異議を唱えたというわけです。
http://www.penultimosdias.com/2012/09/11/acuse-de-recibo-carta-de-juan-carlos-tabio-a-senel-paz-sobre-fresa-y-chocolate/

主たる異議は、パスがその序文で「映画の脚本を書いたのは私一人であり、他人の手が加わったシーンはひとつもない」と記したこと。それに対し、本当は「共同脚本家:トマス・グティエレス・アレア」と記されるはずだった、と非難しています。
でもタビオの公開状を読むと、彼を怒らせたのは、映画化の過程でなされたタビオの提案に対するパスの異論や不満の表明のように思えます。

たとえば、ディエゴは、レサマ・リマでなく、フェルナンド・オルティスの愛読者とすべきだとタビオが主張したこと。ナンシーと結ばれたあと、ダビが裸でロンを飲み、葉巻を吸うシーンを入れたかったのに却下されたこと、など。

これに対しタビオは公開状で反論していますが、私の印象としては、タビオ監督が不毛な喧嘩を売った印象を受けます。
ただ、この諍いの底には、内輪の人たちにしか分からない何かがあるのかもしれません。
アレア監督の娘から「タビオ監督に感謝の意」を伝えるコメントもありました。

いずれにせよ、世界中で最も愛されている(私の勝手な印象ですが)キューバ映画にケチがついてしまって残念。そして、セネル・パスもタビオ監督もキューバ映画にとって大事な人材なのに、こんなことが起きてしまって残念です。

…と思っているところに、スペインの友人が偶然、こんなイベント(@マドリッド/9月20日~)を紹介してくれました。
「苺とチョコレート」の一人芝居。演じるのは、映画で<ディエゴの友人の彫刻家ヘルマン>を演じたジョエル・アンヘリーノ。彼はもう15年以上、ラテンアメリカやヨーロッパでこの一人芝居を演じているそうです。

この機会に、映画「苺とチョコレート」の冒頭シーン(なんとヘルマン役のアンヘリーノも登場しています)と、その続きに当たる「一人芝居」(2011年)、そして今年度製作のトレーラーをご紹介しましょう。3本連続でどうぞ。

映画 1993年


2011年


2012年