主人の館と奴隷小屋 | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

MARYSOL のキューバ映画修行-Casa grande e Senzala Casa-Grande e Senzala

(主人の館と奴隷小屋)

2001(228分)※ビデオ作品/

ブラジル

監督=ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス


第1部「ジルベルト・フレイレ、現代のカブラル」(57分)
第2部「アクーニャ、ブラジル的家族の母」(57分)
第3部「ポルトガル人、熱帯の植民地」(56分)
第4部「ブラジル人の性生活と家族関係における黒人奴隷」(58分)


人類学者ジルベルト・フレイレ が執筆した同名の著書を、4回連続のテレビ番組として映像化。

第1部は、フレイレの友人であった作家エドゾン・ネリー・ダ・フォンセカに扮した教授が、この著書の執筆過程と出版当時の反響を語る。

第2部では、教授と学生とが、インディオとヨーロッパ人の出会いについて議論する。

第3部は、元々様々な人種の影響下にあったと推察される植民地のルーツがポルトガル語で語られる。

第4部では、主人と奴隷の生活描写や性的関係、サディズム等が論じられる。

ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス監督作品特集2010・作品解説 より引用

極私的鑑賞メモ

キューバに興味を持って以来、アフリカをもっと知りたくて、頑張って出かけた!

とはいえ、全部でほぼ4時間のシリーズ― 睡魔に襲われやすい私としては、寝てしまうのではないかと心配だったが、だいたい起きてた・・・と思う。


内容的には、砂糖きび農園(大邸宅)を舞台に繰り広げられる支配者(ポルトガル人)と被支配者(黒人)の関係・その影響についてのレクチャー。
老教授(“主人”的な立場・レクチャー担当)と女生徒(教授の召使のようでありながら、レクチャーもする)のかけあい形式で進行。合間に“劇中劇”も混じり、その不思議さに釣られて、意外と飽きずに見られた。
歴史年表からは伺えない、日常生活のディテールを通して、混血、支配―被支配、相互作用、ブラジル人とは?というテーマに迫る。


★インディオ 

性的に放縦(宗教的タブーがない。ホスピタリティとしての性。白人男性がインディオ女性に襲われる)
文明化→インディオに“洋服”を着用させる(夜になると脱いでしまう)
自然と調和した暮らし
農耕に不向き(狩猟生活がベースなので)→農園からの逃亡

イエズス会師による隔離された“ユートピア”(偽りの楽園)


★黒人

農作業(肉体労働)に向く、農作物の知識が豊富。明るく、慈愛に満ちた気質。


★ポルトガル人

スペイン人ほど厳格ではない。ユダヤ教徒、イスラム教徒との共存を経験していた。


MARYSOL のキューバ映画修行-主人と奴隷 主人と奴隷の関係は、サディスティックな人間(社会)を形成した。
主人とはいえ、白人女性もマチスモの被害者→奴隷に対し、サディスティックに振る舞う。

共生と相互に影響し合う関係(ポルトガル語の軟化)


今読んでいる「1492 西欧文明の世界支配」(ジャック・アタリ著) と重なる。