『レボルシオン 革命の物語』 | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

『レボルシオン―革命の物語―』 1960年/35mm/モノクロ/81分
レボルシオン・ポスター 公開初日:1960年12月30日
原題:Historias de la Revolución

監督:トマス・グティエレス・アレア
脚本

トマス・G.アレア

ホセ・エルナンデス

ウンベルト・アレナル
撮影オテロ・マルテッリ

   (第1話と2話を担当)
  セルヒオ・ベハル(第3話)
美術:ロベルト・ミケリ
音楽

カルロス・ファリーニャス(1話)
アロルド・グラマトヘス(2話)、
レオ・ブローウェル(3話)

編集:マリオ・ゴンサレス、カルロス・メネンデス
録音:エウヘニオ・ベサ、ホセ・ルイス・アントゥニャ、アレハンドロ・カパロス
製作:サウル・イェリン
出演
第一話:エドゥアルド・モーレ、リリアン・ジェレーナ、レイナルド・ミラバジェス
第二話:フランシスコ・ラゴ、ブラス・モラ、エンリケ・フォン
第三話:カリスト・マレーロ、ミリアム・ゴメス、ベルティーナ・アセベード

内容
革命を背景に、第一話「負傷者」第二話「反乱者たち」第三話「サンタ・クララの戦い」からなるオムニバス映画
以下、記憶と映画プログラムを参照しながら紹介


第一話「負傷者」
「負傷者」 1957年3月13日、都市革命ゲリラが大統領官邸を襲撃し、失敗する。
銃弾を受け負傷した都市ゲリラの青年が、仲間に助けられて近くのアパートに運び込まれる。

そこは仲間の女性の女友達のアパートだった。
その“女友達”は、突然の依頼を断れずに3人をかくまうが、同棲中の恋人(主人公)は、巻き添えを怖れ、家を出る。

行く当てのない彼は、街中のホテルに宿泊しようとするが、かえって“不審人物”と疑われてしまう。
以下はネタバレにつき注意!
ホテルから通報を受けた警察は、主人公を家に案内させる。その結果、潜んでいた革命家の青年と警察の間で銃撃戦が起き、主人公の恋人は巻き込まれて死亡。

革命家たちも殺される。

一方、主人公はどさくさに紛れ、なんとかその場を脱出するが・・・

第二話「反乱者たち」
反乱者たち 舞台はシエラ・マエストラとおぼしき山の中(’56~58年)。
バティスタ政府軍の爆撃によって、行軍中のゲリラ兵の一人が重傷を負う。
政府軍の進撃が迫るなか、瀕死の仲間をどうすべきか、それぞれが苦悩の淵に立たされる―

(ゲバラの体験をもとにしている)


第三話「サンタ・クララの戦い」[
1958年12月28日。
実際にゲバラが指揮した装甲列車攻撃戦をハイライトに据えた市街戦ドラマ。
戦いには革命を支持する市民たちも手作りの火炎瓶で積極的に参加、ついに政府軍を降伏させる。勝利の喜びに湧く市中を革命軍の凱旋パレードが進むなか、一人の女性が恋人のゲリラ兵の姿を捜す―
以下ネタバレ注意!
だがその頃、恋人のゲリラ兵は苛酷な戦闘を生き延びたにもかかわらず、政府軍の残党により、あえなく街のはずれで殺されてしまう。ようやく彼女がその姿を見つけたとき、彼はすでに遺体となってジープに乗せられていた…


Marysolから:
どのエピソードも“ハッピーエンド”とは逆に不条理な終わり方。
「なるほどこれが“ネオレアリズモ”かぁ」
と、私もようやく納得できるようになりました。
そしてどのエピソードもある意味“事実から想を得た再現ドラマ”になっていて、早くもキューバ映画の特徴“ドキュ・ドラマ”の体を成しています。
初めて拙ブログで同作品を紹介したときは ネオレアリズムの意味がまだよく理解できていなかった)


ところで最近チェ・ゲバラの『革命戦争回顧録』(中央公論新社) という文庫本が出たのをご存知ですか?
早速買って読み始めたのですが、冒頭の「アレグリア・デ・ピオ」の項を読んでいて、上記の第二話『反乱者』の光景が思い出されました。
ちなみに第二話の撮影にはゲバラ自身が立ち会っています。

右の写真を参照:アレア監督(左端)とチェ(右端)アレアとチェのいる撮影風景

★次回は本作品の製作にあたりネストール・アルメンドロスが唱えた「異議申し立て」について紹介します。