昨年12月のハバナ映画祭のことを書こうと思っているうちに、映画祭のシンポジウムで知り合ったアウレリオさん(社会学者、写真左側)が「国際宗教学宗教史会議」に出席するため、キューバから来日しました。
今回はアウレリオさんと、彼の友人で日本のU大学で教えているペドロさんを我が家にお招きしたときの会話から、予定外のキューバ映画を(次回)紹介するに至る経緯をお話ししておきましょう。
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うちの夫は趣味でコーラスをやっているのですが、キューバに関しては“超”初心者です。
キューバからのお客様を迎え、一緒にお酒を飲みながら(ビールで始まり、日本酒を冷から熱燗まで)、「何かキューバの歌を歌ってください」と、どこからか“グアンタナメラ”の楽譜を持ってきました。
するとペドロさん「日本人は楽譜を読んで、歌うんだね~。僕の教えている学生たちも英語の歌を覚えるとき、まず楽譜を見たんで驚いたよ」と一言。
それを受けて、アウレリオが「キューバの偉大な歌手、ベニ・モレは楽譜が読めなくても、最高の歌手だったし、作曲もこなし、バンドだって指揮したんだよ」
今度は、近所の友人アリシア(スペイン人)が「私なんて子供の頃(たぶん30年くらい前)学校ではベートーベンとか有名な作曲家の話を聞くだけで、実際に音楽を聴くことなんてなかったわ」
と、ひとしきり各国の音楽的土壌の違いに驚きあったあと、ペドロがグアンタナモの出身であることが判りました。
(ちなみに“グアンタナメラ”とは“グアンタナモの娘”という意味です。ご存じない方のために、念のため)
やがて話題は、悪名高き“グアンタナモ基地”から“プラット修正条項”、さらに1868年の“対スペイン独立戦争”へとさかのぼっていきました。
私は、映画を通してインプットしたキューバ史を思い出しつつ、ぼんやり聞いていたのですが、ある一言に“ピピッ”と頭のランプが点灯!
「スペインは“マンビ”に負けたと認めるのは悔しいから、アメリカに降伏してしまった」と、お客様が言った時です。
“マンビ”(mambi)とは、辞書によると「(1868年に始まった対スペイン)キューバ独立主義者」のことですが、例えば“サムライ”と言えば“刀”が連想されるように、マンビと言えば“マチェテ”。
“マチェテ”は、主にサトウキビ刈りに使われる、すごく大きくて長い、鎌のような刃物のことです。
では、なぜ“マンビ”と言えば“マチェテ”なのでしょうか?
また、なぜ“マンビ”に負けるのは“不名誉”と思ったのでしょうか?
その謎を解く鍵となる映画があります。
次回はその映画 "La primera carga al machete" をご紹介します。