「引き潮」。この曲との出会いは僕の音楽人生における最重要事項とも言えるエポックメイキングな出来事だった。


rainmamやギターパンダを通して知った「引き潮」。かろうじて作者がThe Endということ以外は何の情報も得られず…そのThe Endすら、このネット社会を嘲笑うかのように検索してもヒットしなかった。YouTubeはおろか容姿すら公開されていなかったのだ。謎は深まるばかり…。


謎が謎を呼び、分からなければ分からないほど知りたくなる。そんなこちらの感情を操作されているかのようでもあった。ひょっとしたら戦略?


そんなある日、長野で行われるrainmamのライブにThe Endがゲストで出演するという情報を得る。引きこもりの性格の僕が抑え切れない衝動にかられ、即「行く!」となり長野へ。こういう時の決断は早い。


いつものように心地よいrainmamのライブ。酒も進みガブ呑みするのはいつも通り。


ライブが中盤に差し掛かった頃、rainmam daisukeに呼び出され、いよいよThe Endが登場すると場内がざわつく。


ステージに立ったボーダーのシャツを着てアコギを抱えた人物は、一見フツーに映ったが、しかし妙にギラついた眼光が印象的だった。尋常じゃない佇まい。


1発目にrainmamと「引き潮」を演ったんだっけかな?この辺の記憶は酔っ払っていて曖昧だが、その後ソロで歌われた「スタジアムロック」やら「のびのびジーンズ工場」やら「段ボールおじさん」やら…そりゃもう衝撃なんてもんじゃなかった。


ライブが終わっても暫くボー然としていた。するとThe Endが目の前に現れrainmam daisukeに紹介されたんだっけかな?物販で持ってきた『NA NA』というアルバム(5枚くらいしか持ってきてなかった。ジャケは曲順がコピーされただけのCD-R。現在は廃盤)を購入しサインを入れてもらい念願のThe Endと初対面。


とにかく僕は彼を御殿場に呼びたくて、酔っ払って呂律が回らないにも関わらず口説きに入る。随分と迷惑で失礼な酔っ払いオヤジだったと思うが彼はクールに電話番号を教えてくれた。僕も連絡先を伝え、その番号をお互いしっかりと携帯電話に入れた。


はじまり。


映画『君の膵臓をたべたい』で「運命は様々な選択の上に導かれている」というような台詞があったけど、この時の僕の一連の行動はそんな事の象徴であったと思う。


The Endの楽曲は滑稽な人の“生きていく様”を厳選された言葉により細部にわたって丁寧に描き出す。大概の登場人物は行き場のない、やるせない現状にささやかな幸せを見出そうともがいている。


僕はそんな歌達に堪らなく胸が締め付けられそうになるのだ。


トリビュート盤はあるものの正式なオリジナルアルバムは発表されていない謎のシンガーソングライター。そんな彼に出会えた“選ばれし者”たちの出会いはどんなだろう?


淡々とした中に生まれ出る衝撃の物語を一人一人に聞いてみたい。


それにしても私が作成するフライヤーのセンスの無さといったら…行き場のない気持ちに襲われる午前4時55分。


☆2019年9月15日(日)

《The End@御殿場RINCOLO》

開場 16:00

開演 17:00

予約 2000円+1drinkオーダー

当日 2500円+1drinkオーダー

fbyイベントページ→ https://www.facebook.com/events/351482502182313/?ti=icl