前述の記事に関してもうちょっと。

「洛神賦」という作品、元は「感甄賦」というタイトルだったそう。

曹丕にもらった甄氏の枕を使って寝た時に彼女の夢を見て、この賦を作ったというけど…本当かな(笑)

甄氏が夢の中で曹植に愛を伝えたとか。

ちなみに『文選』李善注のものです。

夢落ち…うーん、極端に「こうなったらいいな」とか「こうなったら怖い」という内容が出てきやすそうな気がするけど。

甄氏の気持ちはどうあれ、「洛神賦」のモデルが彼女なら、曹植の想いは本物っぽいですね。

ちなみに、タイトルを変えたのは甄氏の息子…かどうかはちょっと怪しい曹叡。

そりゃそうですよね。現代の感覚からしても、叔父さんが自分のお母さんに惚れててめちゃくちゃ文学的なポエム書きだしたら手が出ますわ。

まさしく禁断愛。

ところで甄氏と曹丕の夫婦仲ってのはどうだったんでしょうかね。

曹丕はやたらと女性目線の恋愛詩うまいけど。

またちょっとその辺も詳しく見ていきたいと思ってます。

三国志フェスで発表できなかった洛神賦について…もったいないのでここに書いちゃいます。
自分のブログなので自由ですよね(笑)
タイトルがふざけていますがいいんです、キャッチーな内容にしたかったので。
夢小説は皆さんご存じですかね?
同人サイトなどでよく見かける、小説の初めに自分の名前を入力すると、好きなキャラクターの相手役が自分の名前に切り替わるアレです。

【テーマ】兄嫁・甄氏への隠恋慕

また大層なタイトルをつけてみましたが、やっぱり一番面白いのでこの説で話を進めていきます。
兄である曹丕の妻・甄氏をモデルに詠まれたという説ですね。
このように考えられる理由となる部分を引いてきてみました。

一.「洛水の女神」描写のリアリティー

其形也,翩若驚鴻,婉若遊龍。榮曜秋菊,華茂春松。髣彿兮若輕雲之蔽月,飄飄兮若流風之廻雪。
遠而望之,皎若太陽升朝霞。迫而察之,灼若芙蓉出淥波。
襛繊得衷,脩短合度。肩若削成,腰如約素。延頸秀項,晧質呈露。芳澤無加,鉛華弗御。
雲髻峨峨,脩眉聯娟。丹脣外朗,晧歯内鮮。明眸善睞,靨輔承權。
瑰姿艶逸,儀靜體閑。柔情綽態,媚於語言。奇服曠世,骨像應圖。披羅衣之璀粲兮,珥瑶碧之華琚。
戴金翠之首飾,綴明珠以耀躯。踐遠遊之文履,曳霧綃之輕裾。


《訳》その姿かたちは、不意に飛びたつ雁のように軽やかで、天翔る龍のようにたおやか。秋の菊よりも明るく輝き、春の松よりも豊かに華やぐ。うす雲が月にかかるように朧(おぼろ)で、風に舞い上げられた雪のように変幻自在。
遠くから眺めれば、その白く耀く様は、太陽が朝もやの間から昇って来たかと思うし、近付いて見れば、赤く映える蓮の花が緑の波間から現われるようにも見える。
肉付きは太からず細からず、背は高からず低からず、肩は巧みに削りとられ、白絹を束ねたような腰つき、長くほっそり伸びた項(うなじ)、その真白な肌は目映いばかり。香ぐわしい脂もつけず、白粉(おしろい)も塗っていない。
豊かな髷はうず高く、長い眉は細く弧を描く。朱い唇は外に輝き、白い歯は内に鮮やか。明るい瞳はなまめかしく揺らめき、えくぼが頬にくっきり浮かぶ。
たぐい稀な艶(あで)やかさ、立居振舞いのもの静かでしなやかなことこの上ない。なごやかな風情、しっとりした物腰、言葉づかいは愛らしい。この世のものとは思われない珍しい衣服をまとい、その姿は絵の中から抜け出してきたかのよう、きらきらひかる薄絹を身にまとい、美しく彫刻きれた宝玉の耳飾りをつけ、頭上には黄金や翡翠の髪飾り、体には真珠を連ねた飾りがまばゆい光を放つ。
足には「遠遊」の刺繍のある履物をはき、透き通る絹の裳(も)裾(すそ)を引く。


絵に描いたように具体的な表現が並んでいます。女神のルックスの話だけでこれだけの尺を使ってるわけです。
美人で、高貴な女性のイメージが表れてますね。
曹植の文才を以てすれば架空でもこれほどのイメージを描けると言ってしまえばそれまでですが、実際に見てきたものを並べたのではと考えられるのが一般的で、まずここでモデルの存在が示唆されてくるということになります。
次に、彼女を人間の女性ではなく女神としたこと。
主人公の自分との間柄にも注目です。

二.人間と女神、叶わぬ禁断の恋

執眷眷之款實兮,懼斯靈之我欺。(中略)洛靈感焉,倚傍徨。(中略)恨人神之道殊兮,怨盛年之莫當。
抗羅袂以掩涕兮,涙流襟之浪浪。悼良會之永絶兮,哀一逝而異郷。
「無微情以効愛兮,献江南之明璫。雖潜處於太陰,長寄心於君王。」
忽不悟其所舎,悵神宵而蔽光。


《訳》私は切々たる慕情を抱いているが、一方で、この女神が欺くのではないかと不安を覚えた。(中略)洛水の女神は、私の態度に感じ入り、立ち去る様子もなく辺りをさまよう。
(中略)そして、人と神との越えることのできない隔たりを恨み、二人で楽しい時間を過ごすことはできないことを嘆くと、薄絹の袖をあげて咽(むせ)び泣き、涙ははらはらと襟にこぼれ落ちる。
これから先は逢瀬の途絶えてしまうことを悲しみ、ひとたびここを去れば、住む世界を異にすることを哀しんだ。
「これより先は、ささやかな愛の言葉も語れません。今、江南の真珠の耳玉を献じましょう。たとえ、姿は鬼神の住む世界に隠れてしまっても、心はいつまでも君を想っています」そう言い残すと、女神の所在は分からなくなり、悲しくも幽暗のうちに、その光芒を沈めてしまった。


二人は決して結ばれてはいけない運命にある、ということ。 「住む世界を異にする」というのは、言うなれば帝の正室との身分の違いではないでしょうか。
実際に、実は甄氏も陰ながら曹植を慕っていた、なんていう話もあるようです。
陳舜臣先生の『曹操残夢』にもそういった流れがありました。
相手も自分のことを想っていたというのは曹植の願望からきたのか、それとも本当にこのような会話が交わされていたのか、詳しくは不明ですが。
女神が自分の世界を「鬼神の住む世界」と言っているのも引っかかりますね。
そのように喩えることが曹丕へのささやかな抵抗だったのかも。

ちょうど予定が空き、私も参加できそうです。

以下SNSの書き込みからコピペですが。。


「第2回 三国志感謝祭」

三国志総選挙開催!
あなたの投票で人気ナンバー1武将が決まります!

集え!全国の英雄!豪傑!そして三国志ファンたちよ!

三国志って面白いな♪三国志って素晴らしいな♪
三国志よ、ありがとう!!
というわけで、出演者も来場者も、みんなで三国志を語り楽しむ、三国志ファンのための大熱狂三国志イベントの第2回です☆
さあ、三国志への熱き想いを爆発させましょう!
「生まれたときは違えども、願わくば同年同月同日に死なんことを!乾杯っ!」

【主催・司会】
坂本和丸(総合三国志同盟代表)
【解説】
満田剛(三国志研究家)
【ゲスト】
美甘子(歴ドル)
スーパー馬超マン(馬超溺愛家)

●開催日:11月5日(土曜)
●場所:新宿ロフトプラスワン
http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/
OPEN 18:00 / START 19:00
前売¥1500 / 当日¥1800(共に飲食代別)
※前売券は9月1日よりローソンチケットにて発売!!
(Lコード:34203)
お問い合わせkazumaru3594@yahoo.co.jp



これ曹丕に投票するしかないでしょ(笑)

いや切実にね、三国志系のグッズとかでさ、曹丕のグッズって少ないわけ。

蜀の五虎将とか、ギリギリ曹操くらいまでならちょっとはあるんだけどね。

そろそろ子桓様を選抜メンバーに入れてあげてください。

織田信長や豊臣秀吉がCM出演してる世の中ですよ~。

握手会とかドラマ出演とかCMとかはムリでもグッズ化くらい!

一部では氷咲梨奈が賄賂を画策していると噂が……ないですけどね。

いや普通にね、去年の第一回行って楽しかったので、今年も都合がつけば行こうかなと思ってるだけです(笑)


ちなみに去年の模様↓

http://ameblo.jp/rinapiblog/entry-10694626566.html

私の顔は脳内モザイク処理推奨です。

…を、拝読しました☆

三国志研究第六号、ずいぶん前に届いていたんだけど、忙しくて読めていなかったのでやっと。

やっぱり、真っ先に漢詩系の論考に手が伸びちゃいますね。

観点がすごく面白くて、一気に読んでしまいました。

どうして文学は時代も地域も違う人の心に響くことがあるのか、という問題提起から始まり、劉楨の詩を模した約300年後の作品について論じていってるんです。

この江淹って人、曹丕や曹植も真似てます。

私も彼らの文学に感銘を受け、三国志の世界にここまでどっぷり浸かった身ではありますが、彼らを模して詩を書こうなどと思い立ったことはなかったですね。

音楽なんかだとよく、インスパイアなどといって、先駆者の誰かに似せた(或いは似てしまう)作品を作る方もいますけどね。

ただ、多くの場合は二番煎じになってしまって結局本家より見劣りしてしまうものですが。

この論考では数々の劉楨に関するエピソードとともに彼の性格が分析されていて、単なるインスパイアではなく緻密な理解のもとに模擬されているのが分かりました。

こんな読み方もあるんだな、と、個人的に驚きましたね。

文学を研究する人なら、確かにその作者についての文献はくまなく読んで、性格が窺えそうなエピソードを探るものだけれど、それを利用して(全てではないけど)更に作品を作るって発想もあるんですね。

かと言って私は詩なんか詠めませんけど(笑)

建安詩人の模擬詩を作ったのは江淹だけなんでしょうか?

曹植の「七歩詩」も一応、それにあたるのかな。

約1800年後の現代に詠める方が出てきたら面白いですね。

文中に、文学は変更され続けるとあったけど、確かに、私が好きで読んでいる漢詩だって当時の人が詠んだそれそのものではないかもしれない。

自分の解釈も入っているし、少なからず色々な本の著者や研究者の先生の考えも伺った中で読んでいるわけだから。

意図そのものに齟齬が生じているかもしれない。

それでも、解釈する人がいなければ文学は文学たり得ないわけだし、いいんじゃないかなとも思う。

寧ろ、研究者は誰もしたことがない自分オリジナルの解釈をしていかないといけないんだよね。

私にしかできない解釈、私にしか書けない文のスタイルも、あるのかな?


約一年ぶりの更新となりました。

ご無沙汰ってレベルじゃないですな。。


えー、この一年、かなり色々ありました。

言い訳的なことは言いたくないのですが、前回の記事更新後に、とてもブログどころではない環境および精神状態に陥っていました。

プライベートの負担の比重がほとんどでしたが、そんななかで三国志研究に関しても、全く伸びる気配のない自分に嫌気が差し・・・。

今ではそれも落ち着き、生活リズムが変わったので前ほど鬼更新はできないにせよ、少しずつ言葉を伝える体勢を整えていけたらな・・・と思い戻ってきました。

三国志、もとい当時の作品のロマンに想いを馳せる気持ちは変わってないですからね。

しばらくは、「過度な趣味」のフィールドでゆっくり進めていくことになりそうです。

プライベートの方ではそろそろ婚活・・・いえなんでもありませぬ。そろそろイイ歳になりましたorz


ちなみに、今年も三国志フェスには参加させていただいていました。

今回はステージではなく、三国志予備校さんのブースで検定問題の採点など行っておりました。

ブースは大盛況でした。楽しかった~。

ちなみに、検定問題の上級編も作らせていただきました☆

初めは初級問題の作成を頼まれていたのですが、納品してみたらこれは上級だって話になり。

あの満田先生含め、満点を取られた方は皆無でした、してやったり(笑)

悪問だろ!!って思われた方すみません(笑)

おまけで、以前に曹丕の「寡婦」について書いた記事を更に詰めたものをお配りしました。

A4一枚で、という制約もあったので中身薄いですが、お手に取ってくださった方ありがとうございました。

希望があれば、また何かのイベントの際に追加配布したいなと。

時間の関係でできなかった勉強会用に作った資料も、そのうち日の目を浴びないだろうか。。


こんばんはー。

先週金曜日は工学院大学へ、土曜日は二松学舎大学へ、著名な先生方の発表の拝聴に行ってきました。


金曜日の方は、私の愛読書『三国志と乱世の詩人』著者の林田槇之助先生の講演で、曹操や陳琳、曹植の詩についてお話ししていただきました。

今回はそれについて書いていきます。

私の好きなとこピンポイントすぎて講義中にニヤけちゃったのは内緒です!(笑)

予定より結構時間が延びて、得した感じでしたし(笑)


先生いわく、曹操はコンプレックス(宦官の孫だとか、威厳に欠けるとか)があるから表現ができる、とのこと。

作品というのはマイナスの感情がバネになって生まれるという観点は、すごく共感できるものがありました。

建安文学に言い知れぬ奥深さを感じるものがあるのは、詩人達は誰もぬるま湯の中で詠んでいたわけじゃないからかも知れません。

建安文学は「社会に責任を持った者の文学」というのも納得しました。

ただ娯楽で詩を詠んでるんじゃなく、彼らは書記や檄文の担当として実際に戦地にも赴いていた身分でもあるので、切実に伝えたい何かが詩の中に表れている。

例えば曹操なら政治理想、晩年の曹植なら中央へ戻ることへの請願・・・。

『論語』の中の孔子の言葉に詩は「思無邪」という言葉で表現されているそうです。

これは心情の発露、ということを意味するとか。

孔子は弟子達にも詩作を勧め、官僚になるためにも必要なものだと教えていました。

なぜなら、詩を通して民衆の喜怒哀楽を知ることができるから。

民衆の苦しみを知った上での政治は不可欠ですからね。

民衆の心に重きを置く意味で、中国では散文より詩を重視する傾向が今でもあるそうです。

それ以外にも、自分の住む地域以外の地方の詩の描写から知らない地域のことも学べるし、自分の志・事物を観察する目・公共の精神を養うことができる・・・という利点が挙げられていました。

また、魯人は特に建安文学について「詩(文学)の自覚時代」と表したそうです。

私的にはやはり、無名氏ではなく名前のある個人として詩人(当時の人は自称していないと思われますが)の概念が生まれたことは大きかったと思っています。

それが、先に挙げた「社会に責任を持った者の文学」というのと重なって、私の中での建安文学の認識がより明瞭になったと感じています。

詩作ひとつひとつについては、本気で書くといつものように一作品で記事一つ分に相当してしまうので(笑)、特に気になったところを挙げてみますー。

曹植の「泰山梁甫行」についてです。

短めな作品なので、原文載せておきますね。


「泰山梁甫行」 曹子建


八方各異氣,千里殊風雨。
劇哉邉海民,寄身於草野。
妻子象禽獣,行止依林阻。
柴門何蕭條,狐兎翔我宇。

--------------------------

八方各々気を異にし、千里風雨を殊にす。

劇しいかな辺海の民、身を草野に寄す。

妻子は禽獣に象て、行止は林阻に依る。

柴門何ぞ蕭條たる、狐兎我が宇を翔く。


悲惨な地方の様子が伺えると思うんですが、先生はこれを魏に対して訴える挽歌だとおっしゃっていました。

この時の曹植は辺境に追いやられていたので、自分のいる地はこんなにも酷いんだということを分かってほしい、という事ですね。

その解釈にも現在の私としては全面的に同意してます。

というか、三曹や建安七子の詩にはまってすぐに「三国志と乱世の詩人」を読んだものだから林田先生の考え方にはだいぶ染められているのかも知れません(笑)


ちなみに・・・次の日の学会後になんと先生とお酒の席をご一緒できる機会があって、この日にも取り上げられていた曹植の「吁磋篇」についてちょっと質問してみました。

三国志学会で頂いた「三国志研究」に収録されていた川合康三先生の文章で、「野火に随って燔かれん」という表現が仏教の影響を受けている可能性が指摘されていて、それについて私も以前このブログで触れてみてたので、仏教の思想がここにあるのかどうか、先生の考えを聞かせていただきたくて。

先生としては、仏教思想があるとは考えていなかったそうです。

私としては「戦火」だと思うんですけど・・・とちらっと言ったら「あー、面白い!」と言っていただけてそれだけで感激しちゃいました(笑)

だって、だって、詩の第一人者の先生に解釈の面白さを褒められたって名誉じゃないですか~!?

同席していた先生方皆さん頷いてくださって、この説は大事にしつつもっと膨らまそうと思いました(笑)


そんな学会のお話は次回にでもまた詳しく書きたいと思います♪

ちょっと出かけたり色々あるのでまた時間空いちゃうかも知れないのと、私なんかがいるのが場違いなくらい学術的な(当たり前だけど)学会だったので、私の文章で語りつくせるのか分からないですが。。

お待ちいただけたら幸いですっ。

明日の工学院での講義を拝聴に行くに備えて、林田先生の「三国志と乱世の詩人」を読み返していました。

そこで、せっかくなので久しぶりに漢詩の引用でもしようかなと。

イベントレポートブログになりつつありますもんね(笑)

今回は曹丕の六言詩「寡婦」を取り上げてみます。

建安七子の一人である阮瑀が亡くなった時に、未亡人となった彼の妻の心境になって詠んだものとされています。

また、この当時は五言詩がメジャーな詩の形だったので、六言詩というの自体が珍しいです。

そして兮の字が入るのは楚風だそう。

調子を整えるための助字で、特に訳さないものらしいんですけど。

初の七言詩である「燕歌行」しかり、曹丕は想いを乗せるためなら作詩の形式に捕らわれない人ですね。



「寡婦」曹子桓


霜露紛兮交下
木葉落兮淒淒
候鴈叫兮雲中
歸燕翩兮徘徊
妾心感兮惆悵
白日忽兮西頽
守長夜兮思君
魂一夕兮九乖
悵延佇兮仰視
星月隨兮天廻
徒引領兮入房
竊自憐兮孤栖
願從君兮終沒
愁何可兮久懷

-----------------------


霜露紛として交下り、
木葉落ちて淒淒たり。
候鴈雲中に叫び、
歸燕翩として徘徊す。
妾が心感じて惆悵として、
白日忽として西に頽る。
長夜を守りて君を思ひ、
魂一夕に九たび乖る。
悵として延佇して仰ぎ視れば、
星月に隨ひて天に廻る。
徒らに領を引きて房に入り、
竊かに自ら孤栖を憐む。
願くは君に從ひて終に沒せん。
愁ひは何ぞ久しく懷くべけんや。



内容的にはまさに曹丕節です。

女性的な感情、内に向かう負の想いの強さを詠わせたら三曹の中でも曹丕最も良し、といったところでしょう。

個人的に大好きな表現は「長夜を守りて君を思ひ、魂一夕に九たび乖る。」のところです。

どうやら儒教だと、死後の魂は厳密には魂と魄に分かれて、魂が天に昇り魄が地に降るという考えがされていたようです。

初冬の霜や木の葉が落ちる様を地の描写、太陽や星月を天の描写と考えると、自然の風景の中に一人の小さい女性の魂魄が溶け込んでいるという絵が浮かび上がるようです。

この詩のメインは天でも地でもなく、女性でもなく、彼女の魂魄という核心の部分なのです。

そうしたミクロの視点こそが曹丕の詩が持つ特徴であり魅力であると、改めて感じます。

昨日は、記念すべき第10回の三国志街道の集いに行ってきました☆

写真がないんでレポとして読みづらいかもなんですけど、良かったらお付き合いくださいー。


今回のテーマは「横山光輝三国志検定答え合わせスペシャル」


検定は受けていないので、受けた方に問題用紙を見せてもらいながらでしたが、孔明の罠な問題だらけで面白かったです。

だってね、三級の第一問目からシルエットの二択問題で、「この絵の中央にいるのは諸葛孔明である。○か×か」って、そのシルエットの正体は孔明に扮した木像(五丈原のやつね)だったという(笑)

こういうの、問題を深読みしすぎると間違えますよねー。

我らが曹兄弟に関する問題もありました♪

三級では、「七歩詩の二つ目の詩で、使う事を禁じられた単語は何か」で、答えはもちろん「兄弟」ですよね。

おくまんさんは事前勉強会で曹植といったら豆!!ミスタービーン!!と覚えていたので、うっかり一回「豆」を選んでしまったそうです(笑)

豆が禁止だったら子建さん斬られてます(笑)

ここも引っかけだな~とちょっと思ったのが、選択肢に「牛」って入ってたんですよね。

で、七歩詩のエピソードで曹植が作った最初の詩の方が、牛の絵を見て詠んだ詩なので、順序がごっちゃになってると選びかねないかも?

禁止ワードではなく題材なので、詩の内容を覚えていれば大丈夫だと思いますが。

ちなみに、厳密には「七歩詩」と呼ばれるものはこの一つ目の牛の詩で、有名な豆の詩は「兄弟」と題する方が的確です。

そもそも偽作説濃厚なので、あんまり深くは触れませんけれども(苦笑)

二級では、「曹丕が献帝に対して取った行動で間違っているものを選べ」だったかな?

正解は「献帝の娘を自分の息子に嫁がせた」。

これが間違いなので選択肢としては正解です。

正しくは自分の息子ではなく、献帝の娘二人を曹丕自身の側室にしています。

そういえば、満田先生が台湾の大三国志展の本を持っていらしたので見せて頂いたんですが、そこの解説にもやっぱり曹丕即位のことを「簒」の字を使ってるんですね(苦笑)

否定も肯定もしませんけど、個人的に曹丕好きとしては悪者扱いされてるみたいでイヤ(笑)

全部はさすがに目を通せなかったのですが、三国時代のものが載っていると思うとときめきますね~。

銅雀台から発掘されたものとかもあって、あの宴の風景の中にあったものなのかな~とかロマンを感じました。


答え合わせ自体は、完全に正答を一から言っていく形ではなく、試験後の自己採点みたいな形でした。

気になる問題を個々で質問する感じ。

正答が判明する度に皆さんが一喜一憂する様子を俯瞰していてすみません(笑)

合格見込みの方も結構いらっしゃるようでした~凄いです!!

基本的に、三国志に詳しくても漫画自体を細部まできっちり読んでいないと分からない問題ばかりでした。

これは横山三国志愛情度チェックですか!!みたいなね(笑)

例えば、人物名の読み方「夏侯惇」「単福」って、私普通に「かこうとん、ぜんふく、でしょ!これは余裕」とか言ってたら「かこうじゅん」「たんふく」だったという。

うー・・・まさに計略にかかりやすいタイプです、はい(苦笑)

ブログパーツの三国志占い?では何故か知力が100になってますが、実際はシュミレーション三国志の劉禅ばりに低パラメータだと思います。


そして、答え合わせが早めに終わったので、久しぶりに満田先生のハイパー夢壊しタイム(笑)

演義と正史の相違などを語っていただけるコーナーです。

私はそもそも夢なんて見てないんで(笑)、純粋に面白いんですけどね♪

赤壁の戦いの記述が超あっさりしている話は、レッドクリフ辺りから入った方にはショックすぎると思いました(笑)

東南の風とか連環の計とかも出てこないし、そもそもあんな戦いがあったのかも怪しい、と。

不利だったし疫病も流行ったから曹操が撤退しました、完。みたいな。

私的には、歴史書の『三国志』は魏を正統としているから、魏が酷い負け方をした記述はあまり残さないような気がしてます。

上の書き方だと、敗戦は疫病蔓延のせいで運が悪かっただけというか、撤退してしかるべきであって、曹操は正しい行動を取ったのだと評価しているようにも聞こえます。

まぁ、どっちにしても映画やドラマみたいなド派手なアクションシーンはなかっただろうなぁ。

あと爆笑したのが「左慈」について。

「左慈」という人物は実在して・・・いるのですがこれまたとんでもない長所をお持ちの人で。

満田先生は、大三国志展の人物紹介を書いた際に「特殊な技能」と濁したそうです。

その、お察しください。

言うなれば古代中国版「加●鷹」って感じですね(笑)

私が自席でこの喩えを小声で言ってたらおくまんさんが全く同じ事言って笑えました(笑)

この件に関しては夢が壊れるどころか夢が膨らm・・・一応真面目な三国志ブログなので大概にします。。


そして何と今回は横山光輝三国志検定スペシャルという事で、検定の問題を作成したライターの呉さんもいらしてました。

実際に関わった方のお話を聞ける機会は貴重ですよね!

しかもイベント終了後に、このブログを読んでいるとお声かけいただいて感激でした!ありがとうございます☆

二次会までご一緒させていただいたのですが、横山三国志に対する情熱や好きな事を仕事にしている方の輝きを感じて、私のモチベーションにもなりましたっ。

毎度ながら、三国志街道後の二次会は熱いんです!

皆さん詳しくて三国志への愛と情熱に溢れる方ばかりなので、忌憚なく話せちゃいます。

呂布は暴虐の徒か純粋戦士(@蒼天/笑)かという議論は面白かったですね~。

武官に関する資料がほんとに無くて、実際の人物に迫れないのが悲しい。

気付いたら5時間も、二次会で休むことなく話してました。


次回の三国志街道は12/23に忘年会らしいです!

サークルのノリらしいです(笑)

公式イベントなのに最近、三国志街道が内輪会のように思えてきた不思議。

どんどん遠慮がなくなっていって申し訳ない・・・です。

都合がついたら参加しようっと♪

ご無沙汰してます。
現在、院試に向けて論文を執筆しております私です。
テーマは「詩作における曹丕と曹植」。
仮題ですけどね、普通は大学の卒論とかで代用するところなので、オーソドックスなものでいこうかと。
曹操という非常の人に組み込まれた彼らの生い立ちから始まり、不仲説、曹丕の即位前後のやりとりなどを詩作を通じて論じ、核心に迫れればと思ってます。
それでブログがお座なりになってしまってます(苦笑)
でもでも三国志に対する情熱は深まるばかり!
今月頭には、神保町の古本まつりにて、こんな収穫をしてきました。

経国之大業―三国志・乱世の詩人に恋して-101109_2245~01.jpg

……

間違えたこっち!(笑)

経国之大業―三国志・乱世の詩人に恋して-101103_0137~01.jpg

曹丕の全集とか垂涎モノです。
初見の作品もたくさんありました。
中身はオール中国語しかも簡体字なので、今の私ではまだまだ解読困難なのですが、これで中国語を少し読めるようになれたらいいなぁと。。
主に東方書店さんと内山書店さんを見ていたのですが、三国志学会の機関誌が売ってたのにびっくり!
いつか私の文が載ったら…なんて妄想が膨らみます。

シンポジウム当日からだいぶ時間が経ってしまいましたが、第三部、葉口英子先生の講演のレポを。


「ゲーム空間の曹操像」と題されたこの講演は、私もですが三国志系ゲームが好きな層、若い層には興味深い内容だったんじゃないかなと。

学生さんに取ったアンケートだと、三国志を知った年齢は中高生って人が多いとか。

やっぱりこの点、大学入ってからな私は遅いんだなぁ・・・。

中国だとやっぱり、低学年から学校で三国志について聞いたりするらしいです。

そして、学生が持っている曹操のイメージというと、やはりゲームなどから起因するものが多いとのこと。

威圧的、天才、乱世の英雄、野心家、夢追い人、などが挙げられる中に、ロリコン、ドSという意見も・・・(苦笑)

ロリコンはどう考えても無双ですね(笑)3だっけ?二喬ゲットするシナリオあったやつ・・・。

吉川三国志などの小説では悪だと思ったのに、ゲームで曹操シナリオをプレイしたら悪でもなかった!という意見もありました。

その方には是非次は蒼天航路を読んでいただきたいものです。モーヲタ養殖計画。

それから無双5曹操伝のオープニング&エンディングを観ました。

金髪キラキラゴージャスな袁紹とか、無双知らない三国志好きからしたらたいそう驚かれたことでしょう(笑)


私がふと気になったのは、無双5のエンディングって最後、曹操が出ていっちゃうんですよ。

意味深に誰も座ってない玉座が映されて。

つまり、曹操自身は寿命で帝位に就けなかったのではなく、魏国の基盤だけ作って自らそれ以上は望まなかった、という解釈に取れるんですね。

この辺りが実際どうだったかは、史学的に三国志を研究している方からしてもまだ考察の余地があるところだと思うんです。

そういう意味で、無双5の展開はこれは一つの考えの提示なのだと捉えました。

そんな難しいコト考えてゲームやってる人そんなに居ないと思うけど(苦笑)


私は葉口先生が挙げてらっしゃった三国志系の二次創作作品(無双、大戦、蒼天、恋姫、呂布子、一騎当千、鋼鉄etc)は全て知っていましたし、熟知とまではいきませんがざっと目を通したことはありました。

結局ね、どれだけトンデモ作品でも、火のない所に煙は立たないのですよ。

例えば全員女の子になっちゃってる恋姫ですら、演義の流れを汲んだと思われる描写(曹操が関羽を気に入っていたり)が出てくる所が多々あります。

作者の側に立ってみると、三国志そのものを知らずにこういったパロディ作品を作るとは考えにくいです。

なので、どういう部分がフィーチャーされているのか、とんでもないファンタジックな世界の中でさえ生き残っている描写は何なのか、とかを考えながら見ていると面白いんですよね。

そして逆も然り。

先生は、こういった二次的なものかた入ったヲタク層が一次的、つまり歴史そのものの方へシフトするケースは少ないとおっしゃっていましたが、私はそうは思いませんでした。

ゲームや漫画にハマったら高確率で好きなキャラクターができます。

好きなものをとことん極めるという傾向があるヲタク層だからこそ、史実や逸話にはあって作品には描かれていない部分まで知りたくなる心理が働くのではないでしょうか。

もしくは、今はコミケやオンリーイベントなどでファン自らが漫画や小説などを制作して売買することがあります。

18禁などで単純に性描写があればいいだけの本を売っている人は別ですが(卑下する訳ではないのですがあまり好まないので・・・すみません・・・)、同じヲタ層であってもより他と差別化する、クォリティーの高い作品を出したいと考える人達は、元ネタはゲームや漫画であっても史実に添ったエピソードなどを交えてくるはずです。

そうすれば必然的に、表現の幅が広がるのですから。


結論としては、今から若い層に三国志の魅力を知ってもらうには、以上の理由からゲームなどの二次創作を通じたアプローチもかなり効果的だと思います。

稀に、曹操のロリコンみたいな間違ったイメージがついてしまう事もありますが(・・・)、それならそれで、ゲームイメージと史実イメージとのギャップを楽しむのもまた一興だと思っています。

あ、今更ですが、私が言う「史実」とは単に「正史」を指しているわけではありません。

本来の意味での「史実」は、これだけ大昔で資料の少ない三国志では、語るのは不可能だと思います。

ここでの「史実」とはあくまで自分が信じている「史実」です。

私はそれを文学に見出したりしているのですが。

なのであまりにゲームに傾倒しすぎて、変な贔屓目や誤解の脳内補完はしないようにしたいところです(笑)