るー’s Memorandum of life -2ページ目

るー’s Memorandum of life

全ての記事が自分のメモです。

『疾風ロンド』 東野圭吾 2013年 実業之日本社

 極秘に開発していた生物兵器が盗まれた。犯人は雪山に埋めたという。3億円と引き換えに場所を教えるというが、犯人はメールを送って数日後に事故死してしまった。なんとか回収しようと研究員の栗林は息子を連れ、とあるスキー場に向かうのだった。

 自身の面目のためにも上司の命令を遂行しようとする栗林、一世一代金儲けのチャンスと奮闘する折口、子を亡くした母の姿に耐え切れずK-55を使おうとしたユウキ…。物語は雪山を滑走するスノーボーダーやスキーヤーのようにスピード感をもって展開していく。またロンドとは音楽形式の1つで、異なる旋律を挟みながら、同じ旋律を何度も繰り返す形式ことらしい。ゲレンデを何本もの線が交錯するように、様々な人々が交わりながら展開する本書、疾風ロンドとはぴったりなタイトルだと思いながら一気に読み終えた一冊。
『片想い』 東野圭吾 2004年 文藝春秋

 2020年今でこそLGBTという言葉が一般的にも知られるようになり、性別への固定観念が崩れつつある。あるいは性によって型にはめて相手を見るべきではないとの考えが広まっているように思う。

 ただし履歴書は氏名欄よこに男女どちらかを記載しなければならず、温泉などの公共施設も勿論男女で分かれており差別と区別が難しい問題でもある。本書が出版された2004年当時、性同一性障害や性転換手術といった言葉が注目されるようになった頃であろう。

 10年ぶりに再会した美月は一言も声を発さず妙な出立をしていた。大きな帽子をかぶり少し覗く唇からは口紅がはみ出している。この身体を作った神様のしくじりを訂正するんだ、そういった彼女は男の姿をしていた。

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 『片想い』この言葉をタイトルにする東野さんは優しいあたたかいひとなんだろうなぁと感じてしまう。数冊しか読んだことがないし検索したこともないので…すが…。私なら、なんだろう戸籍交換を巡る冒険、、、?本書は娘の体の中に死んだ妻の心が入り込む『秘密』を引きずって書かれているらしい。(1998年 東野圭吾)印象的だったのは、体が女性で心が男性で、性転換手術をして男性の身体になったとしてもまた反対側からの違和感に悩むという一文だ。題を片想いにした理由を、これから他の本を読み進めながら考えていきたい。