柏葉紫陽花の花が咲き始めた。
毎年紫陽花の季節が来ると、隣の奥さんを思い出す。
この家に引っ越して来た時からずっと親切にしてもらい、良く庭の垣根越しに長話をしたものだ。
何年も仲良くしてもらい、お花や料理や手芸や色々な事を教えてもらった。
私にとっては母と呼べる位の年齢の方だった。
ある日
「ガンがみつかって手術をするのよ」と知らされた。
退院してしばらくすると
「やっとカツラが要らなくなったわ」とショートヘアを撫でてニコニコ笑ってらっしゃった。
友達の多い奥さんでいつも誰かの相談にのっては励ましていた。
退院から二年程たったころ
救急車が隣に止まった。
ガンの再発で治療中だった奥さん。
入院してからは回復してるとご家族も仰っていらしたが急に容態が悪くなりそのまま亡くなってしまわれた。
我が家の庭に大きな根を張り立派に育った柏葉紫陽花は
お隣の奥さんから株分けして頂いたもの。
今年も満開まであと少し…
奥さんの笑い声といつも明るかった笑顔が浮かんでくる。