カケラクズシ 其の十四 更新いたしました。

 たくさんのコメントありがとうございます!

 これからも指摘頂いたところを心にとめて、できるだけ良くなるように書いていきたいと思います。


 そして、小説ランキングで初の3ケタ突入です!

 読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。

 

 これからも、是非読んでやってください。




午後7時30分


 私は、それから病院を出て家に帰り家の鍵を開けようとすると、玄関が開いていることに気付いた。

 父さんは仕事で今日は帰ってこないって言ってたし……。

 ……嘘、開けっぱなしだった?

 最近は空き巣がこの辺りで出没しているのよ。杏璃ちゃん、戸締りはしっかりね――。

 隣の家のおばちゃんが数日前にそんなことを言っていた気がする。

 あぁ、嫌なことを思い出してしまった……。 

 私は、そっと玄関に入り靴を脱ぎ、家に上がる。

 どうしよう、誰かいたら……。

 私をそんな嫌な予感が襲う。

 ガタリ……

 物音がした。

 私は自分でもビクッとしたのがわかった。

 ……いや、ビビるな杏璃。空き巣も所詮は空き巣。家主の登場には逃げるはず……。

 私はそんなわけのわからないことを考えながら、玄関に立てかけてあった金属バットを持つ。これは、小学校の時に私の通っていた小学校でクイズ大会をしていた時の優勝賞品だ。千里がそのクイズ大会で優勝して、結構有名なスポーツブランドのこの金属バットを手に入れたのだ。……まあ、ほとんど使ってないんだけどね。

 あ、話がそれた。

 ……今はそんなバッドのコバナシをしている場合じゃない。

 空き巣だ、空き巣。

 私はそっとリビングの引き戸の取っ手を握る。

 そして、バット片手に一気に開ける!

 ガラッ

「あああああああっ!」

「う、うわああああっ!」

 私の特に意味のない掛け声の後、何か拍子ぬけした男の声がした。

 ん……? どこかできいたことが……。

 私は改めて、その空き巣野郎を見る。

「父さんっ!?」

 そいつは、父さんだった。

 ちょっ……、何この漫画でよくある展開……。

 多分、仕事が早く終わったのか、部下に仕事を任せてそそくさと帰ってきたのだろう。

「杏璃、脅かさないでくれよ……」

 どうも父さんは私のダイナミックな登場に驚いて椅子から落ちたようで、床に情けなく座っていた。

「あ、いや、その……あははは」

 私は笑って誤魔化す。

 ……誤魔化せてないと思うけど、誤魔化せたことにしておく。

「で、父さん」

 私はさっきの空気を変えるように、言葉を発した。

「御鷹の話だけど、私だけ行っちゃ駄目かな?」

「え……?」

 父さんは私の言葉に目を丸くする。

「私、御鷹でやり直したい」

 父さんは私の発言に驚きを隠せないようだ。

「杏璃、本気か?」

「本気だよ」

 私は、家に着くまでに考えた。

 どうすればいいかって。

 その時、父さんの御鷹の話を思い出した。

 父さんは千里が目覚めたら御鷹に越そうと言っていた。

 多分、診療所自体は出来ているのだろう。千里が目覚めたら……なんて適当な時期を指定しているのだから、今日千里が目覚めても越すことはできたということだ。

「父さんはさ、やっていけると思う? ここで」

 私の言葉に父さんは目を伏せる。

「たしかに、荒れてるよ? 暴力沙汰だって、少なくない。ううん、多いくらい。でも、そんなとこでも殺人未遂なんて普通じゃない話、わかるよね……?」

 父さんは返事をしない。

 私は言葉を続ける。

「それに、私にだって補導歴がある。そんな子供の言うこと、普通の大人は信じるかな? ……信じないよね」

 父さんは黙ったままだ。

 そう、私には2度の補導歴がある。1回目は暴力沙汰で、2回目は器物破損だ。1回目は、何故かここらのトップの不良(詳しいことはよくわからない)のケンカに混じっててそのまま成り行きで補導。今では、何故そんなケンカに混じっていたのかはよく覚えていない。2回目は、看板をちょっと壊してしまった。その現場にお巡りさんがやってきて、友達もろとも補導。その看板というのも、選挙のポスターなんかを貼っているベニヤ板で、そこに貼ってあったハゲたおっさんの顔写真に向けてボールをぶつけて遊んでいたら、雨風にさらされて弱っていた板を見事破壊した、というわけだ。

 どんな理由にせよ、私には補導歴がある。

 警察、学校、近所でも評判が良いわけではない。

 近所の人も、うちの学校のガラの悪さには迷惑しているようで、制服を見るだけで嫌がられてしまう始末だ。

 まあ、隣のおばちゃんは今は私を良い子だ良い子だと可愛がってくれているが、この千里の嘘の話が耳に入ったら、もう他の人と同じような目を向けるのだろう。

 あの、教室のみんなみたいに、冷たい眼差し。

 もう、もうあれは嫌だ。

 あんなのもう、耐えられない。

「だからね、私――」

 プルルルルッ

 私の言葉をさえぎるように、電話が鳴った。それを父さんが取りに行く。

 私は電話を少し睨みながら、父さんの電話の会話に耳を傾ける。

「もしもし、森口です。……え? あ、はい。……は? ……え、あ、はい。わかりました。すぐに向かいます」

 父さんはガチャリと電話を切ると、私に薄手の上着を渡してきた。

「……私も行くの?」

 てっきり父さんだけが出ていくのかと思っていた私は、渡された上着を羽織りながらそう言った。

「あぁ。千里の容体が変わったらしい」

 私はその言葉を聞いて、玄関に急いだ。

 そして、間もなくして玄関から出てきた父さんと車に乗り、病院へ向かう。

 10分程で、病院には着いた。

 私と父さんは車を降りると、病室に向かった。



 カケラクズシ 其の十三 更新しました☆

 今回も実に鬱ってます。

 そもそも、カケラクズシは五話で終わりの予定だったのですが、実に長引いています←

 

 

 昭和59年冬から昭和60年夏の物語

   カケラアツメ(仮)



 をカケラクズシの続編、いや、本編として更新するつもりです。

 そもそも、カケラクズシは序章の予定でしたが、予想外にも長くなってしまいました(笑)

 

 …ということで、昭和59年秋のこの話が終了すれば、カケラアツメ(仮)に物語が続くというわけです。

 カケラアツメからは、鬱シーンはカケラクズシの30%OFF~になる予定です★


 いままで短編しか書いたことがないので、長編にチャレンジしていますので、どうか気長に見守っていただければ、幸いです。