天台声明と真言声明を聴き比べ、そして、声明を唱えてみる。

朝日カルチャー横浜で2回にわたって開催された「天台声明と真言声明」を受講した。

講師は、天台宗の僧侶である末廣先生と真言宗の僧侶である小路先生。
講座の1回目では、それぞれの宗の先生から、天台声明及び真言声明の特徴について説明があり、実演していただいた。

天台声明と真言声明、実際聴いてみると、こんなに違うのかと驚く。
同じ歌詞(?)でもスピードが全く異なる。
力強く深い奥行きを感じる真言声明。
優雅でゆったりとした天台声明。
例えば、各宗派でよく用いられている『四智梵語』。

天台宗では5分くらいかけてゆっくりじっくり唱えられるが、真言宗では1分かからないくらいでリズミカルに唱えられる。

声明の独特の譜面は「博士」というそうだ。
「お魚博士のさかなクン」というときの「はかせ」と同じ読みだがイントネーションが違う。
譜面も天台と真言で異なる。

真言宗の『九條錫杖』、リズミカルで繰り返される「大慈大悲」の文句が耳に残る。



講座の2回目は、法要形式で声明がどのように唱えられているのか体験。
受講生もほんの一部だが一緒に唱えた。
息継ぎが難しくなかなか肺活量がないと辛いと思ったが、慣れれば楽しいだろうと感じた。
『散華』のときには、みなさん一緒に花びらを散らした。
声明の声に合わせてゆらゆらと舞う花びら。
とても楽しい。

写真の上が小路先生から、下が末廣先生からいただいた花びら。
カワイイ。
栞にしようかと。



声明を唱えながら、空海はどんな声だったのだろうか、と考えた。
空海は、明らかに聴覚優位の人だった。
全体的に感覚の鋭い人だったと思うが、音、声、言葉に関しては、独特の感性を持っていた。

鎌倉時代の高僧、明恵上人は空海の目玉を懐に入れてしまうという夢を見た。
空海ならば目よりも耳だろう、と思ったが、明恵上人は視覚優位の人だったようだ。
私が聴覚優位と体感覚優位であるせいで、空海は聴覚と体感覚の人に思える。
曼荼羅の表す調和の世界に、宇宙が奏でる音楽を聴くのだ。
それに、東寺真言七祖像に描かれた飛白体のゾクゾクする感覚。

声明、聴くことで耳で感じ、唱えることで体で感じる、大日如来の説く真理。