森の図書館 -17ページ目
罪
人はなぜ
生きるのか
何もない
この世界で
悲しみと
切なさと
野望しかない
この世界で
あなたは
なぜ生きているのか
その答えを
知っているのか
人はどうして
生まれてくるのか
何もない
この世界に
絶望と
裏切りと
憎しみしかない
この世界に
きみはどうして
生まれてきたのか
その答えを
知っているのか
生きるのか
生まれてくるのか
それは
あなたも
きみも
知らない
生きるのは
苦しみ
生まれてくるのは
原罪
意識して
意識しないで
あなたも
きみも
生きている
答えを
求めて
答えを
求めないで
あなたも
きみも
生きている
夜汽車
瞬く星に向けて夜汽車はゆく
汽車は何を乗せているのか
汽車は何を降ろすのか
何も乗せはしない
何も降ろしはしない
夜の星に向けて
今日も夜汽車はゆく
汽車に乗れる人はいるのか
汽車から降りれる人はいるのか
間に合わなかった人は
二度と乗れない
降りれなかった人は
二度と大地を踏めない
闇を遮るように
明日も夜汽車はゆく
汽車には誰でも乗れるのか
汽車はいつまでも
消えずにいるのか
キラキラ光る星の切符が
なければ乗れない
何かを見失ってしまったら
見えない
夜汽車は今日もゆく
誰も乗せずに
誰も降りずに
今日もゆく
いつ我々は降りたのだろう
いつ我々は乗れるのだろう
いつまでも
いつまでも
乗れないのだろうか
このまま
このまま
乗れずにゆくのだろうか
歌わない小鳥
歌わない小鳥を生かしておいても
どうなるでしょうか。
捨ててしまえ。
殺してしまえ。
生きる価値がないのなら
いない方がよいのです。
歌わない小鳥はどうして
歌わなくなったのでしょうか。
声を潰されたから。
目を潰されたから。
歌えないのなら
いない方がよいのです。
歌わない小鳥は生きる必要が
あるのでしょうか。
舌を切ってしまえ。
翼を剥ぎ取ってしまえ。
例えいなくなっても
誰にも気付かれないのなら
いない方がよいのです。
小鳥は歌わない、
飛ばない、
歩かない。
欲の無い小鳥は潰してしまえ。
潰された小鳥は墜ちてゆく。
墜ちてゆく・・・。
笛
さみしい時は
笛を吹きましよう
温かい父が笑ってくれるから
優しい母が笑ってくれるから
大手を振って
笛を吹きながら
どこまでも
どこまでも
歩いて行きましょう
父も母も
いつでも
どんな時でも
傍にいるのだから
かなしい時は
笛を吹きましょう
大聖堂のマリアさまが
見守って下さるから
大船の観音さまが
見守って下さるから
空を見上げて
笛を吹きながら
どこまでも
どこまでも
進んで行 きましょう
マリアさまも観音さまも
いつでも
どんな時でも
傍にいるのだから
美しきもの
この世で美しきもの
それは稚児の顔。小さき子らが飴玉を
口にほうばっている姿。
娘さん。清潔な落ち着きある
美しき女学生。
若き青年。青春を謳歌して
日々を生きる。
栗の木。春の風にたなびく大きな大樹。
小鳥。大空を羽ばたく小さくも大きな鳥。
秋の夕陽。黄金の稲穂に映える
雄大な紅。
美しきものは
だんだん
だんだん
堕ちてゆく。
墜落してゆくそれらは
もう元には戻らな い。
みんな
みんな
堕ちてゆくしかない。
這い上がる術が見つかるまで。
琴の音
琴の音色は清くて儚い
わたしの心に響いてくるその音は
かなしみの音に似ている
いたみはどうして伝わるのか
せつなさはどうして生ずるのか
さびしさの中に琴の音は有る
くるしくても、やるせなくても、
うそうそとしていても
夜の闇に存在する
その音が混ざり合って調和を生む
うつくしくもつめたい調和を
やさしさもあたたかさもない
この世界では真の音色が聴こえない
きえてしまったのか
なくしてしまったのか
それは誰も知らない

