舞い扇



三味の音(ね)に託す


女の涙


今日も舞い扇で


隠して


妖艶に惑わす



華やかな着物の下に


数知れぬ哀しみが


宿り



憎しみの炎は


ふつふつとその身の内に


静かに灯り



時代を動かす


愛した


たった一人の男のために


今宵も


舞い続ける



袂に秘めたる


女の魂を胸に


新しき夜明けのために


剣の代わりに


扇をかざし


明日を夢見る


芸妓の心



長唄に今の世の


憂いをのせて


哀しく舞う


その姿は


確かに流転の時代に


生きた女の証