血合わせ
手を差し出せ
その手首を
俺の居ないのをいいことに
俺の仕事している内に
お前、
他の男と通じただろう
泣きつく女は
俺に無実の罪だと
訴える
ああ
なんておぞましい目だ
お前はきっとその目で
男を誑かしたに相違ない
ああ
なんて憎らしい目だ
まるで覚えが無いと
言いたげに
涙など流したりして
手を差し出せ
その手首を
嫌がる妻の手を
ひっぱり
冷たい水の中に
血を垂らす
ほうら、
俺の血と混ざらないじゃないか
嘘付き女房め
斧でお前の首をバッサリじゃ
言うこと聞かない女など
いりはしない
嘘の巧い女房など
いりなしない
首と胴体が離れたというのに
今だその目は
俺を恨めしそうに
凝っと見ている
なんて女だ
この期に及んで
まだ文句言うか
顔踏んで血で見えなくし
裏山に埋めてしまえ
血だまりの中から
目だけがギョロリと
俺を見ていやがる
死んでもなお煩い女じゃ
土の中深く深く
埋めてしまおう
こんな女など
愛してなどいないわい
※血合わせ~江戸時代に、妻の姦通の有無を
確かめるのに用いられた。