りんの言葉 ７.

息子りんは

小学校の低学年くらいから

誰も何も教えたりもしないのに

ご飯を作るたびに

「お母さん、ありがとう」

と言ってくれるようになった

食べるたびに

「おいしかった」　

と言ってくれるようになった

だから

３食作ったら

３回とも

それを言ってくれ

３６５日作ったら

３６５日言ってくれた

そして

学校の迎えに行けば

「お母さん、迎えに来てくれてありがとう」

と言い

授業参観に行けば

「お母さん、授業参観に来てくれてありがとう」

と言い

それは

わたしだけでなく

家族にでも

誰にでも言い

それは

５年経っても

１０年経っても

１５年経っても

一切変わらず

それは息子が

２歳のときに

脳障害を負い

一時期全盲で

最重度の知的障害者と判定され

彼が肉体の機能の全てを失い

どん底を生きたからで

その時の

何もない状態が

ベースで生きているから

全てに

感謝しかないのだと

思った

りんの言葉 ６.

『りんの言葉 ⒍』