母との対話 4. | ブログ.

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事実は小説よりも奇なり.
Truth is stranger than fiction.

息子りんの絵と猫と, 愛する人生と.
Rin’s arts,cats,and loved life.










今日母が
わたしの小さい頃の話を
してくれた











わたしが小さい頃
が炭鉱で働いていたときは
わたしたちは
その社宅に住んでいた
と言う








それは
壁なども薄く
暑くて寒い質素な住まい
だったと言い









冷房も扇風機しかないので
真夏の夜などは
赤ちゃんだったわたしは
よく泣いたと
母は言った








そして
父は夜勤もあったし
家にいても
お酒を飲むばかりで
子どもの面倒も
みてくれなかったらしく









夜に
2歳上の姉と
わたしを連れて













よく近くの海に
涼みに行っていた
と言った










それは
小さい頃から
聞いていた話で









母はそれを
大変だったと
いつも話していたので









わたしもそれを
苦労話のように
受け取っていたが








今日は
〝夜中に子どもを二人連れて
近くの海に涼みに行く〟
ということが









大変さも
もちろん分かりながら
何て豊かで美しいのか…
と泣いた









そして
同じ社宅には
よくして下さる方がいて










海に行くと
その方がいることもあり













「愛ちゃん泣いてたね…
暑いもんね…」









わたしを抱っこしたり
わたしたちを
団扇で扇いでくれたりした
と言った










そして
家風呂が無かったため
炭鉱に勤める人や家族が
無料で入れる
銭湯に行くと









必ず誰かが
わたしや姉を見てくれ
その間に母は
自分のことができた
と言った









そして
近所に
当時障害を持っていた
中学生くらいの
女の子がいて








その子が
わたしを
物凄く可愛がってくれ









いつも
「愛ちゃんをおんぶしたい」 
と言ってくれていた
と言い










その子のお母さんは
それを心配したと言うが
母は嬉しくて 
いつもしてもらっていた
と言い









わたしも
おんぶしてもらったことが
本当に嬉しくて
泣いた








そして
わたしは
それらの元には







不便さや貧しさや
理不尽さなどが
あったとは思うが









でも母は
「大変だったけど
皆で助け合っていい時代だった」
と言い







 

わたしも
何て温かくて
心の豊かな世界だったか 
と思った








だから
息子りんが 
不自由だからこそ
美しい絵描けるように








不便さ
不自由さ
不器用さ
理不尽さ
貧しさなど








一見この世で
悪や劣とされるものの
奥にある
その豊かさや美しさを
改めて感じた








そして
物質的な豊かさは
有限だが
精神的な豊かさは
無限で








そして今
素晴らしく
便利で快適で
どこまでも自由な
物質世界も楽しみながら










またそんな
心の豊かな
精神的な時代に
入ってきたのを感じ









二人で
「そんな温かい世界だけを生きたいね…」
と泣き










 

そのとき 
どんどん
当たり前になっていくのだと
思った