そして
キッチンに
行くと
元夫が息子と
隣りの
リビングで
サザエさんを
見ながら
ご飯を食べていて
わたしは
元夫がいないとき
いつもしているように
息子が
テレビを見ている横で
いつもしているように
キッチンで
料理ができるまで
大音量で
手越くんが
聞きたくなり
いつもなら
躊躇したが
この日は
躊躇せず
聞いた
そして
わたしは
なぜ
わたしは
大音量で
手越くんが
聞きたくなるのか
と考えた
それは
もちろん
純粋に
好きだから
単純に
聞きたいから
というのもあるが
ふと
聞きたくもない
テレビや音が
鳴っているときに
大音量で
音楽が聞きたくなる
ことに気づき
音で音を
消しているんだ
と
ハッとした
そして
その日の
絵画教室で
松山先生も
動物の世界に
芸術がなく
人間の世界に
芸術があり
それが
無くならないのは
人間には
芸術が
必要だからなんです
と言った
それは
動物には
言葉がなく
人間には
言葉があるからで
言葉というのは
他人だからで
芸術は
他人や言葉を
排除する役目が
あるからなんです
と言った
