いつも誰かの視線を感じると思っていた。
舞台の中央にいることが多いんだし、主役して注目されることが多いのも当たり前。
メンバーの中では年長者にもあるため、先輩から吸収しよう。という熱意で見つめてくれるのもあるだろう。
そういう存在になりたいという願望でもあるが。
まさか。
その中に「特別な熱量」の視線があることなんて、思ってもいなかった。
たった今までは。
舞台が千秋楽を迎えて、ほっと一息。
シャワーも浴びてすっきりしたことだし、打ち上げには早いけどひとまずビールでも。
と、プルタブに指をかけたところに雑踏から飛び出してきた声がある。
「大ちゃんっ!」
なに?と切り返す間もなく、次々と声が飛び出す。
「あのねっ!ずっとずっと言いたかったんだけど、ものすごく好きなっちゃった!
とにかくかっこよくて、綺麗で、こんな人と同じ舞台に立ってるってのが夢みたいで。
ちゃんと言葉にして伝えなきゃ、ほんとに夢になって消えちゃう気がして。
舞台終わっちゃったけど夢じゃなかったんだよね?ここに、いるんだよね?」
どちらかというといつもは無口なまおの口が、ぱくぱくとせわしなく動く。
いつもはもっとゆっくりで舌足らずで。
「よく、動くよなー・・・。」
何を言われているかを理解するよりも、次々と言葉の湧いてくる口に意識が向いてしまう。
「よっ!あつい告白だねっ!」
「ちゃんと聞いてやりなよ~。大ちゃんっ!!」
バシバシと馬場っちとタッキーに背中をバシバシと叩かれて、ビールがこぼれる。
「お前らな~。ちょっと手加減しろよ。」
こぼれたビールを首にかけたタオルで拭っていると、まおのすんなりした足が目に入る。
え?告白?
誰が?誰に??
え??
今、こいつ、なんて言ったっけ??
きょとんとした瞳を向ければ、必死!!といった風情の瞳がうるうると俺を見上げている。
「え・・・?お前、惚れたの?」
こくこく。
機械仕掛けの人形にでもなったかのように、まおが何度もうなづく。
「誰に?」
「大ちゃんに。」
「役、じゃなくて、俺に?」
「うん。大ちゃんに。」
力いっぱい握りしめているせいで、Tシャツにプリントされたミッキーがみょーんと伸びて妙にスタイルがよくなっている。足元なんて、まおの手に握りつぶされて、くっしゃくしゃだ。
熱烈な告白をされているのに、急には現実感を伴わなくて、どーでもいいことばかりが目につく。
「そっかあ。ありがとな。そんなに惚れてもらえるなんて、役者冥利につきるわ。」
くしゃくしゃっとまおの頭を撫でてやると、瞳がおろおろと泳ぎだす。
おいおい。
さっきまで突き刺さるんじゃないかってぐらい、まっすぐな視線だったくせに。
こいつ、おもしろいかも。
おもしろいついでに、額にかかった髪をかき上げ、ちゅっとキスをしてやった。
「だだだ、大ちゃんっ!!」
ガターン!と派手な音をたててまおが床に尻もちをつく。
「どうしたんだ?まお。」
「だって、大ちゃんが・・・。こ、腰抜けた。」
自分から熱烈告白してきたくせに、その後の展開は予想しなかったってことか?
大胆なのか、純情なのか。
今まで共演者の一人としてしか認識してなかったのに、急に自分だけのものにしたい衝動に駆られる。
俺の一挙一動にくるくると表情をかえるコイツが、おもしろくて・・・かわいい。
「これぐらいで腰ぬかしてたら・・・。」
「ぬかしてたら??」
床にへたりこんでるまおの手を引いてぐいっと胸に閉じ込める。
「わわわっ!!!」
大げさに騒ぐまおの耳に最大級に「いい声」でささやいてやった。
「いくら心臓があってももたないぞ?」
まおの耳たぶがかあっと赤く染まる。
「もう、じゅうぶんもたないよ・・・。」
小さく独り言のようにつぶやかれた声が、あまりにもかわいくて。
思わず、本気でぎゅうっと抱きしめた。
さあ。ここから恋をはじめよう。
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え?なぜ急に大まおなのか??
やー・・・。実はれいみりがめっちゃ書きたくて。
れいちゃんがみりおちゃんに熱烈告白!!みたいな(笑)
きっかけはそこだったのですが、せっかくだし大まお変換してみなさんがわかるお話にしよう!
と、久しぶりにお話しにしてみました^-^
みりおちゃんなら告白されてもすぐに理解できずにだーいぶたってから
「ええええ?」ってなりそうだなー。と思って前半書いてたら。
なんだかドSな大ちゃんになってしまいました~~WW
でも、私実は優しくにこやかな大ちゃんよりもツンな俺様大ちゃんのほうが好きです(笑)
ビジュアル的に、ねー^-^
あ、どの舞台のこと?
とかって細かい突っ込みはしないでねー。