「わっ。なに?どうしたの?」
玄関の扉をあけると、つんと懐かしい香りが鼻をついた。
森に迷い込んだような。
小学校の理科の実験室のワックスのような。
ぼくの記憶の中にはないのに、なぜか懐かしい。
「おーっ。おかえり?いいだろ?これ。」
キッチンから大ちゃんが顔をのぞかせる。
リビングで炎がごおごおと音を立てている。
「何?石油ストーブ?これ。」
「ばーちゃん家に行ったらさ。危ないから捨てるって言うから引き取ってきた。」
白のワッフルニットが似合う恋人が、微笑む。
「ま、灯油を入れないといけないのが面倒くさいけどさ~。
パワーは保証付きだぞ?」
「うん。あったかいね。これ。」
ごおごおと揺れる炎。
手をかざすと、ちりちりと熱いぐらいだ。
「なんかさ~。癒されるよな。炎って。一瞬も同じ姿をしてなくて。」
「・・・そうだね。大ちゃんの好きな空に似てる。」
ふふっ、と笑うと、大ちゃんが一瞬驚いたようにたじろぐ気配がした。
「結局、自然が生み出すものの本質ってすべて一緒なのかもね。」
一瞬も同じ姿をしていなくて。
それでいて、永遠なるもの。
それぞれ違う道を選び。
違う土地で空気を吸い。
目指すものさえ違っても。
一瞬たりとも立ち止まることなく、お互いに進化し続け。
それでも、永遠に本質は同じ。
見た目に惑わされることなく。
常に寄り添っていこう。
「・・・ほら、あったかくなってきた。」
「ほんとだ。」
あったまってきた指先を、大ちゃんの指に絡める。
「これさ。お湯も沸かせるし、なんならカレーだって炊けちゃうんだぜ?」
「えっ!ほんと?それはすごいっ!」
ぱっ!と瞳を輝かせると、大ちゃんが得意げに笑う。
「ほら、これもそろそろ飲み頃だと思うけど?」
「わーっ!すごいすごいっ!テンションあがるっ!・・あちっ!」
石油ストーブの上に置かれたマグカップに手を伸ばそうとして、あまりの熱さに手を引っ込めた。
「ばっかだなあ。熱いに決まってるじゃん。カップごとあっためてるんだから。」
だから、冷めにくいだけどね。
とか言いながら、ホールド状態でもどってきたでっかいミトンに両頬を包まれる。
「俺の熱も冷めにくいけどな?」
じっと真正面から見つめられて直視できずに視線を逸らせてしまう。
「・・・何が、だよ?」
何が、なんてわかりきっているけど。
いつでも、いつまでも、情熱を注ぎ続けてくれる。
僕は、同じぶんだけ返せているだろうか?
時折、不安になるけれど。
今は、この幸せな時間に甘えていたい。
ぷいっと横を向いたついでに、愛情を確認してみたくなったりして。
「もちろん、灯油の入れ替え、なんて面倒くさいことは、大ちゃん担当だよね?」
「お前なー・・・。」
「だよね?」
「はいはい。」
念押しへの返事はぞんさいなものだったけど。
だからこそ、本質の愛情を感じ取ることができて。
君の瞳を赤く揺らす炎に見とれるのだった。
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アメンバーさんの石油ストーブのお話が好きで。
ストーブのある風景っていいなあ。と刺激を受けて、久々に大まお萌えしました^-^
もうちょっとまおがツンデレで大ちゃんがしょぼぼーん。
てのが、好物なのですが。
なんだか真面目ちっくなほうに走ってしまい、最後まで修正できませんでしたWWW
あ。妹が京都マラソン完走したそうですっ!!
去年よりも20分タイムを縮めて。
すげー・・・・。
フルマラソンを走ろう!と思う気持ちからして、私には無理だわWWW
同じDNAのルーツと思えない(笑)