頬に当たる机の硬く冷たい感触が気持ちいい。
僕の秘密を知っているのは、感情を持たないこの教室だけ。
全てのものに平等にひっそりと光を投げかけ続ける三日月だけ。
乱れた呼吸だけが、僕が存在することを証明する。
跳ね返ってくる心臓の音だけが、孤独であると安心させる。
大丈夫。
身を焼くような羞恥も、見たくなかった欲望も、元々自分の中にあったもの。誰にも存在する影であり、たまたま偶然、ついうっかり、見つかってしまっただけ。
大ちゃんだって、なかったこととして処理してくれたじゃないか。
ますます長さを増した影は、先ほどまでの躍動が嘘のように無気力に伸びている。
自分と向き合うことを恐れてきた自分に翻弄され、怯えている。