「何?また新製品?」

「うん。大ちゃん興味もってくれるかなー?と思って。」

 

撮影のたびにまおのリュックがぱんぱんに膨らんでくる。

まおのお菓子好きは有名だけど・・・それだけではないらしい。

 

休憩時間になると、大人チームは煙草を片手に木陰に集う。

 

「ダメですよ。たばこ。」

 

と、集まりに寄ってきながらも視線は一人しか追っていない。

 

-----わかりやすいヤツ。

 

「喉は大事にしなきゃ。口寂しい?」

 

大人チームはたくさんいれど、注意するのはたった一人が吸い始めた時だけ。

 

必ずぱんぱんに膨らんだリュックを持参して、苦言を呈しに行っているのに嬉しそうだ。

 

「ほらほら、これんなんてあんぱんまんなのに味は大人なんだよ~。

果汁たっぷりジューシィーでっ!食べてみてよ。」

「俺、そんなに甘いもの好きじゃないんだけどなー・・・。」

 

たばこを取り上げられて、好きでもないお菓子をおしつけられている割に、彼も嬉しそうだ。

 

ぱくん。

 

ああ。自覚がないって恐ろしい。

 

差し出しだされたグミを、指から直接食べたものだからまおの頬がみるみるうちに桜色に染まってゆく。

 

「ちょ。大ちゃん・・・。」

 

まおは、ぱちぱちと長いまつ毛を震わせて、じーっとみつめるしかできなくなっている。

 

「おっ。確かに。意外とうまいな。これ。」

「あっ。じゃあ、あげるっ!」

 

くるり。と踵を返して大人チームの輪から逃げてしまう。

大ちゃんの死角にはいった途端に、ふうっとため息をついて、頬をぱたぱたあおいでいる。

 

「進展ないなー。もっと肉食でガツガツいかないと気がつかないよ?

気は配れるけど、受け取るのは鈍いからなあ。」

 

ぎゅうっとリュックを抱きしめ、木の根元に座り込んでいるまおの背中に声をかける。

 

「や。肉食もなにも・・・。こうやって同じ現場にいるだけで奇跡ってゆーか、幸せってゆーか・・・。」

「欲がないなあ。お前。」

 

「欲なんて出したら神様に怒られるよ。」

 

・・・かわいい。

 

他人に恋をしている姿を可愛いと思って胸きゅんするなんて不毛以外のなにものでもないけど。

 

大ちゃんに恋をするまおが好きなんだ。

 

恋心に気が付くと同時に失恋するなんて、寂しすぎるけど。

 

 

早く気付いてやれよ。ばか。

 

 

呑気に再び煙草をふかし始めた大ちゃんの横顔に思うのだった。

 

 

リュックの中身が軽くなる日がくればいいな。

 

 

まお。

 

 

 

 

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最初は馬場りょ目線?だったのですが、途中からタッキーにしました。

と言っても「誰」とは書いてないので、お好きな人の目線に立って二人を眺めてみてくださいな^-^

 

ちょっと初々しすぎたかな??WW

 

最近はこういうかわいい感じに癒されます~。