なんて、関係ないだろ?
実家ならいざ知らず、男の独り暮らしの俺とは無関係。
賑やかに、華やかに飾られた街を歩きながらそう思っていた。
なのに、最近は妙にひっかかる。
頬を染めてはにかんでいる表情のお雛さまを見ていると、
誰かを思い出すからだ。
「いいよなあ。お前らは。」
一年に一度はこうやってみんなに祝福されて。
時期が過ぎてもずっと箱の中で二人っきりでラブラブなんだから。
・・・ま、二人っきりかどーかは知らないが、
思う存分いちゃいちゃしたところで祝福ムードしか漂わないだろう。
「お買いあげですか?」
「・・・あ。いや・・・。」
あまりにも羨ましそうにじーっと眺めていたのだろう。
店員の声にはっと我に返る。
「お子さんですか?今はマンションにでも置けるコンパクトなタイプもたくさんございますよ?」
「あー・・いや・・・。」
すっかり若いお父さんと間違えられてしまっている。
かといって独身独り身男がひな人形を食い入るように見ていたというのも体裁が悪くて、どう断ったのもかと思案しているうちに。
「・・・そうですね。これ、ください。」
ちんまりと座っているお雛さまがまおに思えてきて。
両手を伸ばして「抱っこして」と甘えてきているようで。
両手で抱えることのできるサイズの紙袋が、がざがざ鳴る音に束の間の幸せを感じるのだった。
「まお。おはよ。」
朝、歯ブラシを銜えながらひな人形のおでこをつつく。
いつも変わらぬ微笑みをたたえて、俺を送り出してくれる。
「好きだよ。」
そう語りかけると、ほおがほんのり染まった気がした。
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ひなまつり。
うちは男三人なので関係ありませんが。
職場でちらし寿司をいただきました^-^
昨日次男の誕生日だったので、いちごのケーキは食べましたよ!