え?そんなものあるのかって?
たった5段の階段なんだけど、俺にとっては気合を入れないと登れないんだ。

もちろん、膝を痛めてるとか、そんなんじゃないよ?
23歳、男。
体力はイマイチだけど、筋力には自信がある。
運動神経だって、戦隊モノを演じていたことがあるぐらい、優秀だ。

「ふうっ!やっと最後の一段。」

本日も気合と共に登りきる。

ニューヨークの冬は寒い。
コートや手袋やで着ぶくれて体が重い。
おまけに、全てがビックサイズで、一度の買い物の量が多い。

「車、欲しいなあ。」

切実な願いではあるけど、国際免許を取らないといけないし。
新車購入の資金に余裕があるわけでもない。

荷物をドサリ!と床に置いてため息をつく。
ダメダメ、ため息をついたら幸せが逃げちゃうって言うだろ?

自分で自分を戒める。
過ぎた幸せを経験した者にとっては、ニューヨークでは当たり前の日常がちょっとばかりツライ。

だってさあ。

買い物と言えば、楽しくカートを押していればいいものだった。
大荷物になっても、知らないうちに大ちゃんが横からさらってくれていた。
階段でよろけたら、必ずあのおっきな手が差し伸べられていた。

「あーっ!!会いたいっ!会いたいっ!!会いたいっ!!!」

誰もいないのをいいことに、大声で叫ぶ。

まおはマイペースだから一人のほうが気楽なんじゃない?
ルームシェアって最初はいいけど、やっぱ気を遣うよ?
今まで見えなかった相手のアラが見えて別れるって話もよく聞くし。

大ちゃんと同居を決めた時、複数の友人からかけられた言葉。
どれも真実だろうし、俺のことを想ってくれていた。

それでも。

大ちゃんといて、一回も窮屈だとか、しんどいとか思ったことはなかったんだ。
悪ふざけみたいなケンカも、真正面からぶつかることもあったけど。

俺が気が付かないぐらいさりげなく歩調を合わせてくれてたんだろうな。
買い物一つで、大ちゃんがいないことをこんなにも感じるなんて。

「浜尾京介」という人間を形作るもの。
「渡辺大輔」という存在がどれだけの割合を占めていたんだろう。

ふと、叫びたくなるほど、会いたくなるよ。


大ちゃん。


今日はどこまでも続く真っ青な青空。

「どこにいても空で繋がっているから」

そうだね、その通りだけど。

やっぱり、遠いよ。



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まおの日常はこんな感じなのかな?

2017のお話しは、ニューヨークにいる設定だったり、帰国後同居している設定だったりいろいろで混乱しませんか?

今現在の二人の現実。
よりも
自分の中にある大まお。
を、妄想しているので、それぞれに感じてくださいね!

裏付けなんて、まーったくないので、信用しないように!