「ほらほら~。次の舞台のために腹筋鍛えてるんだよ!」

ぺろりん、とまおがTシャツをめくる。

「へえ、そうなんだ。」

他のキャストならばここはがっつり食らいつく話題かもしれないが。
ぺろりん、を早く止めさせたくて、そっけない返事になってしまう。

明るい照明の下で見る腹筋が妙に健康的すぎて、後ろめたい羞恥を覚えたのもあるが。


「んっ。あっ・・・。」

昨晩、あの肌に手のひらを滑らせて質感まで確かめた。
唇を這わせて、嗅覚と味覚も満たされた。

少年のようだった滑らかさから、しっかりとした質感に成長した筋肉がうねる。
唇が肌を掠めるたびに微かに震え、時折大きくよじれる。

・・・はっ。


現実では適当に違うことを話ながらも、脳内はまおの肌を再現してしまっていた。
Tシャツのぺろりんも一瞬だけで終わっていたというのに、俺の脳裏にはいつまでも焼き付いている。

自然、って難しい・・・。


「みんな知ってるんだから、普通でいいよ。普通で。」
と、言われることもあるが、その普通の距離感がわからない。

あまりベタベタするのも不快に思う人もいるだろうし。
仕事である限りは、あまり私情を持ち込むのもどうかと思うし。

そっけなくしすぎると、仲が悪いのかと思われるし。


うーん・・・。


「ちょ。大ちゃん。さっきの反応は何?めっちゃ寂しかったよお。」

収録を終えたまおが、ぷんすか拗ねている。

「もしかして、俺が腹筋バキバキになるの、嫌?
その気にならなくなる??」
「おまっ!こんなところでそーゆー話するなよな。」

下ネタは苦手なくせに、天然キャラのまおは思ったことを口にしてしまう。
事情をわかっているスタッフがニヤニヤと見守っているのも全く気が付いていない。


「まおのことは好きだよ。」

これ以上、余計なことを口走らないように、ぎゅっと頭を抱え込んで口を塞ぐ。

控えめに、だけど、あからさまに。
テンションの高い悲鳴とともに周囲が息をのむ気配が伝わってくる。



「むしろ、目のやり場に困るよ。大人の色気ってやつだな。」

放置しておくと後々が大変なので、まおだけに聞こえるようにこそっとささやく。

「ほんとっ!?大ちゃん大好きっ!!」


キラキラっと瞳が輝き、ぎゅうっと首にしがみついてきた。


あっぶねー・・・。


キス、されるかと思った・・・。



まあ、そんなこんなで。

気苦労が絶えないのである。



え?贅沢な悩みだって?

おかげさまで、日々訓練されて「器のでっかい男」には近づいてる・・・かな?





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あ。 馬鹿なお話し二連続になっちゃったW
多分、戦国BASARAの頃だったと思うのですが、こういうのありましたよね?
まおがぺろりん、とシャツをまくってるのに、大ちゃんスルーみたいな。

細かいところは忘れているので、突っ込まないでくださいねWW
なーんとなく、の雰囲気を感じ取っていただければW