「やっ。んっ。もっ。正月そうそうっ・・・。」

「うるさい口だなあ。」

 

眠い。と文句を言わせまいと唇を塞がれた。

舌を絡みつけ、吸い上げられ、息があがる。

再び眠りに落ちようとする意識を掬いあげようとする。

 

「ちょ。あぁ。んんっ・・・。」

 

眠ってしまいたい欲求と、誘われる甘美な欲望。

ゆらゆらと揺れている俺の意識を、ぐいっと強引に引くように、

胸の突起に歯を立てられた。

 

「っつっ・・・。」

 

ぴりっと走る痛み。

・・・だけど、痛みが別の感覚を連れてくることを知ってしまっている。

 

「大ちゃっ・・・んんっ!」

 

文句を言っていたはずが、いつの間にやら自分から首に腕を回している。

 

 

 

近所の神社でカウントダウンをして、初詣も済まして。

朝日も拝んだことだし、お雑煮も食べたことだし。

 

眠くなるのが人間の性ってものでしょ?

 

久しぶりの袴姿に疲れ、足袋を脱ぎ捨て、テキトーに着物を崩して

床にごろんを横になろうとしたら。

 

まあ、ご覧の通り、って展開になった。

 

 

「もーっ。せっかくちょっと寝て昼から活動しようと思ったのに。

XX店も見たかったし、OO店にも行きたかったし。

福袋に初売りに・・・逃しちゃったじゃない!」

 

眠気もピークを過ぎればなんとやら。

すっかり目がギンギンに冴えてしまったけれど、冴えすぎて目が痛い。

昼日がまぶしすぎる。

 

毛布をぐるぐる巻きにして当たり散らしたい気持ちをぎゅぎゅーっと抱きしめる。

カーテンから覗く「ここが頂点ですよっ!」って言わんばかりの太陽を恨めしく眺め・・・れない。目が痛すぎて。

 

「まあ、いいじゃないか。

めでたく初エッWができたことだし。」

「・・・っ!よくないよお。一年の計は元旦にありだよ?

一日中ベッドの中で過ごすなんで、もったいなすぎるっ!」

 

「おおっ!一年中ベッドの中っ!なんて夢のような・・・イテっ!」

「大ちゃんの馬鹿っ!」

 

ふざけたことばっかり言うから、ぐるぐる巻きの毛布で殴ってやった。

 

「そう怒るなよ。今年は酉年だろ?」

「・・・??そうだけど?」

 

ますます天高く飛べるように、活躍しよう。

先ほど、神様にそうお願いしたばかりではないか?

 

「ほら。たっくさん卵を産んで・・・」

「バカっ!!!」

 

するり、とまさに卵が納まっている柔らかい部分を撫でられたから、今度こそ拳で殴ってやった。

 

「・・・痛いよ、まお。お前、暴力的になったんじゃあ。」

「違うよっ!大ちゃんがオヤジになったんだよっ!」

 

「あ。傷ついた。」

「勝手に傷つけば?」

 

ぷーん。と背を向けてやると、もそもそとベッドの上を這ってきた大ちゃんが背後から毛布をふわりとかけて抱きしめてくる。

 

「嘘だよ。まおと少しでも一緒にいたかっただけだから。」

「・・・・。」

 

ご機嫌を取ろうったって、そうそう毎回流されないんだから。

無視を続けていると、大きな手のひらが髪を撫で、瞼を撫で。

 

・・・ふぅっ・・・。

 

バリバリにとがっていた神経は、いつの間にやらあったかい手のひらに癒されてため息に変わる。

 

「・・・おやすみ。まお。夕方から一緒にでかけような?」

 

 

今年初めてのまどろみに落ちてゆく中で、大ちゃんの優しい声を聞いた。

 

なんだか、とっても満たされて幸せな気分だ。

 

 

初売りも福袋も逃してしまうかもしれないけど。

 

 

貴方の手のひらを感じ、声を聞いていられる。

 

 

確かにそれが一番幸せなことかもね。

 

 

たくさん卵を産んで、全て孵化させよう。

俺の中から産れでたすべてのものが、天高く飛んでいきますように。

 

 

そして、大切なものをちゃんとみつけられますように。

 

 

 

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今頃元旦のお話しWW

ちょこっときわどい?かなあ。と思うのですが、まあ、この程度なら大丈夫でしょう(笑)

久しぶりすぎて、基準がわかんなくなっちゃった・・・。