トクトクトクトク・・・。
規則正しいリズムがまどろむ意識をやさしくゆり起こす。
なじんだ目覚まし時計の音はまだ鳴らない。
いつもよりも早起きしてしまったんだろうか。
早朝の割には、心なしかいつもよりもあったかい気がする。
「ん・・・。」
薄く目を開けると、視界に広がるのは無機質な壁ではなくて、あったかい肌色だった。
---ああ。そうだった。
ここは、目覚まし時計の必要もなく。
朝のストーブも必要ないんだった。
「大ちゃん・・・。」
まだぐっすりと寝ている恋人の胸に鼻先をこすりつける。
独りぐらしの寂しさも不便さもすっかり慣れ、当たり前の日常になっていたけれど。
ぼくを守ってくれる腕とぼくを包んでくれるぬくもりに触れると、やっぱり幸せはここにあると感じる。
新しいチャレンジと名声を求めて、自立したかっこいい大人になりたいと願った。
ここに戻りたいと思うのは、甘えや逃げになると必死で歯をくいしばって頑張ってきた。
少しづつではあるけれど、着実に一歩一歩夢に近づいている実感がある。
でも、たぶん、ちがうんだ。
いつでもここに戻ってこれる安心感があるからこそ、がんばれる。
「んー・・。やっぱ、かっこいいなあ。」
安らかな寝顔はまるで彫刻のように整っている。
すうっと鼻筋を指先でたどり、たどったあとにキスをする。
「・・・当たり前だろ?誰の恋人だと思ってんだよ。」
唇を離すと同時に、大ちゃんの黒目がちの目がぼくをじっと見つめていた。
「わっ、起きてたの?」
「熱烈なキスあたりから。」
「・・・別に熱烈じゃないじゃん。」
「いや、告白が熱烈だっただろ?」
すっと触れるだけのキスが頬をかすめたかと思えば、わしゃわしゃっ!と髪の毛をかき乱される。
「いやー。こんなに長い間つきあってても惚れ直してもらえるなんて男冥利につきるね。
やっぱお前はいくつになってもかわいいわー。」
ほめられているのか、けなされているのか、馬鹿にされているのか。
でも、ぼくをみつめるまなざしがとっても優しいから。
「そうだよ。こんなに大ちゃんのこと好きでいてくれるのなんて、ぼくぐらいなもんだかからね。」
ほんのちょっぴりの不安な気持ちなんて気が付かないふりをして。
かわいくない返事をした。
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「ロミジュリ」を見ていて「あなたの腕の中で目覚める~」という歌詞から浮かんだ大まおさんでした^-^
私は明日までお仕事。
本日からお正月休みって方も多いのかしら?
年賀状も完成したし、大掃除もおおかた終わっているので、少し心に余裕がでてきました^-^
今年は激動の一年だったけど、後半は楽しかったなあ。
年末ご挨拶できないかもしれないので、ここで。
ほとんどお話しを書かなくなってしまったにもかかわらず、
ずっと訪れてくださってありがとうございました!!
私は何事にもどーっとはまって、すぱっと抜けるタイプなので、
ブログを続けていることも、お話を細々とでも書き続けていることも、
我がことながら驚きです(笑)
ここでの出会いにたくさん助けられ、勇気づけられ、頑張ることができたように思います。
来年は酉年。
自分にとっても、みなさまにとっても天高く飛べる一年になりますように^-^