「ねえ。大ちゃん。」

「・・・ん?」

 

「やっぱり、ここはあったかいね。」

 

飲み潰れた二人をリビングにほったらかして、寝室のベッドで恋人を腕の中に閉じ込める。

 

「そりゃ、お前、ニューヨークに比べたら気温差何度あると思ってるんだ?」

 

毛布にくるまったまおが「大ちゃんらしい。」とふふふっと笑う。

 

「そういう意味じゃないよお。」

「・・・じゃあ、何か?やっぱ俺の腕の中がいいとかそういう・・・。」

「馬鹿。」

 

あまりにも早い否定に、もうちょっと夢みさせろよ、と恨めしくまおのつむじを睨む。

 

「そうじゃなくて。やっぱり、俺って日本人だったんだなあ。ってゆーか。

みんなの顔を見たら、ものすごく、ほっとした。

もう、俺の居場所なんてないんじゃないか、って思ってたけど、みんな全然変わってなくて。」

 

人は変化するもの。

 

だけど、まおに会った瞬間に変わらぬ空気を作ってくれたみんなの優しさ。

それは、お前が愛されるに値する人間だということ。

 

「・・・ただいま。」

 

肩幅こそ広くなったものの、くんと匂いを嗅ぐように胸に鼻先を摺り寄せて甘える仕草は変わってなくて。

 

「・・・おかえり。」

 

またすぐに飛び立ってゆくだろう愛しい恋人を、腕にしっかりと抱きしめた。