「これとあれが明日締め切りで、こっちが来月で・・・。
えっと、一番にしなきゃいけないのは、どれだ?」
ニューヨークでの生活はめまぐるしく動いてゆく。
一秒たりとも立ち止まっていたら、あっと言う間に取り残されそうな危機感を感じるぐらい、
変化とアグレッシブなエネルギーに満ちている。
いつまで経ってもこの街になじんで「当たり前の日常」になることはない。
・・・大ちゃんが側にいないから。・・・だけじゃない。
居心地のよかったあの腕の中でどれだけ甘やかされてきたか。
を嫌というほど思い知らされたから。
自分なりに精一杯努力して、精一杯背伸びして。
少しでもあの人と並んで歩くのに相応しい存在になろうとしていたつもりだったけど。
海をわたってみて、ぱあっと視界が開けたように新しい世界を知ると、
自分がいままでいた世界がどれだけちっぽけだったかを思い知らされる。
「はいはいはいっ!今出ますっ!」
やることがいっぱいで頭の中がごっちゃごちゃだというのに、けたたましく玄関のベルが鳴る。
クラフト紙包まれた宅配便の重みがずっしりと腕の中に落とされる。
「・・・誰からだろ?」
何の変哲もない小包に目を落とし、見慣れた筆跡に目頭が熱くなった。
懐かしい住所と、懐かしい筆跡。
見間違うことのない、流れるように美しい文字は本人そのものを思い出させる。
「・・・そっか。誕生日だったんだ。」
忙しい毎日にに流されて、自分の誕生日なんてすっかり忘れていたけれど。
大ちゃんの筆跡に一気に等身大の自分を思い出す。
「もう1年経ったんだ・・・。」
寂しくて、会いたくて、苦しいばかりだった日々も過ぎ去り。
必死に自分を奮い立たせなくても、自然に目の前のことだけに集中できるようになっていたけど。
こうやって今でも気遣ってくれる存在があるというのは、ものすごく安心できる。
友情だけじゃ、説明できなくて。
恋だけじゃ、終ってしまう。
もっともっと深く広いところで繋がっていることを信じることができる存在。
「何を贈ってくれたんだろう?・・・ぷぷっ。」
ガサガサと包みを開けてみると、大ちゃんが次々にこなしているであろう舞台のパンフレットやサンプル写真やら。
「も~。手抜きしたな。釣った魚に餌はやらない、ってやつ?」
ぶつぶつと文句ばかりが口をついて出てくるのに、頬がゆるむのを抑えられない。
だって、どんなブランドバックよりも、お洒落なアクセサリーよりもうれしかったから。
自分はここでがんばっている。
だから、お前もがんばれよ。
そんなメッセージが込められている気がして。
「あーあ。また一段と遠い存在になっちゃったね。」
誰でも知っているような名だたる俳優・女優さんと並んで笑っている大ちゃんを見ると
誇らしい反面、寂しい気分にもなる。
その位置に並ぶことよりも自分の夢を選んだのは自分。
充実した毎日に後悔なんてヒトカケラもしていない。
・・・でも。でもね。
<プレゼントありがとうね。なーんか、手の届かない存在になっちゃったね>
<・・・んなことないよ。自分の至らなさに落ち込みまくる毎日だよ。
だって、~~さんも~~さんもスゲーんだぜ?レベルが違うっつーか>
<ふふ。がんばってるんだね>
<おうよ。もう、必死で喰らいついていっているさ>
タバコを吸いながら、ソファに座ってる。
くるくると表情を変えながら、今は笑い皺ができてる。
<よかった。言葉ほど落ち込んでなさそうで>
<・・・ん?どうしてわかるんだ?>
<・・・だって、大ちゃん笑ってるもん>
<見えてねーだろ?>
<・・・そーだけど、雰囲気っていうか>
網膜では見えないけど、感じてしまうのだ。
彼の思いや感情を。
<・・・だって、自分が未熟だって痛感できるぐらい大きな舞台に立ててるってことでしょ?>
<だよな>
<それって、すごいことだよね?>
<・・・約束したからな>
離れていても見失わないぐらい、お前の目標になってやる、と。
<・・・いい男だろ?俺>
<・・・ばっか。自分で言う?>
<惚れなおしたくせに>
<・・・否定はしないけど>
さらり、と言葉にしているけど、大ちゃんがどんなに強い意志をもって努力したか知っている。
側にいて見ていたわけじゃないけど、ちゃんと感じる。
<ありがとうね。元気、出た>
<だろ?>
逃げ出したいとは思わないけれど、自分の選んだ道があまりにも過酷で。
努力しても努力しても才能には叶わない。上には上がいる。と思い知らされる毎日で。
自分の成長を振り返るより、置いていかれそうな焦りに足元がぐらぐらと崩れそうで不安だった。
<やっぱ、大ちゃんって凄いよ>
<お前もだろ?新しい世界に飛び込んで、一人っきりでがんばってさ>
<そーだけど>
<俺はお前の生き方を尊敬してる>
<・・・ありがと>
<誕生日、おめでとう。まお>
飾りのない言葉が、心に染み入る。
今、この瞬間、世界一幸せなのはきっとおれだろう。
どこにでもある日常かもしれない。
人から見たら、特別なにが幸せなのかわからないかもしれない。
それでも。
幸せ。というものは、自分の心で量るものだから。
貴方の愛を受け取って、またひとつ成長しよう。
25歳の自分に誇りが持てるように。
------------------------------
一日早いですが、まお君の誕生日のお話です^^
普段馬鹿なことばっかり言って、呑気に生きている私ですがWW
自分で自分の過去のお話を読んで「はっ。」と気がつかされることがよくあります。
今年はなんだかだめだめな精神力だなあ。となんとなく感じてみたりW
やっぱり、創作意欲がめらめらしているときは、多分自分自身の価値観もキラキラしているんでしょうね。
そんなダメダメな私とは裏腹に、まお君はキラキラとがんばっていることと思います!
お誕生日、おめでとう!
まお。
えっと、一番にしなきゃいけないのは、どれだ?」
ニューヨークでの生活はめまぐるしく動いてゆく。
一秒たりとも立ち止まっていたら、あっと言う間に取り残されそうな危機感を感じるぐらい、
変化とアグレッシブなエネルギーに満ちている。
いつまで経ってもこの街になじんで「当たり前の日常」になることはない。
・・・大ちゃんが側にいないから。・・・だけじゃない。
居心地のよかったあの腕の中でどれだけ甘やかされてきたか。
を嫌というほど思い知らされたから。
自分なりに精一杯努力して、精一杯背伸びして。
少しでもあの人と並んで歩くのに相応しい存在になろうとしていたつもりだったけど。
海をわたってみて、ぱあっと視界が開けたように新しい世界を知ると、
自分がいままでいた世界がどれだけちっぽけだったかを思い知らされる。
「はいはいはいっ!今出ますっ!」
やることがいっぱいで頭の中がごっちゃごちゃだというのに、けたたましく玄関のベルが鳴る。
クラフト紙包まれた宅配便の重みがずっしりと腕の中に落とされる。
「・・・誰からだろ?」
何の変哲もない小包に目を落とし、見慣れた筆跡に目頭が熱くなった。
懐かしい住所と、懐かしい筆跡。
見間違うことのない、流れるように美しい文字は本人そのものを思い出させる。
「・・・そっか。誕生日だったんだ。」
忙しい毎日にに流されて、自分の誕生日なんてすっかり忘れていたけれど。
大ちゃんの筆跡に一気に等身大の自分を思い出す。
「もう1年経ったんだ・・・。」
寂しくて、会いたくて、苦しいばかりだった日々も過ぎ去り。
必死に自分を奮い立たせなくても、自然に目の前のことだけに集中できるようになっていたけど。
こうやって今でも気遣ってくれる存在があるというのは、ものすごく安心できる。
友情だけじゃ、説明できなくて。
恋だけじゃ、終ってしまう。
もっともっと深く広いところで繋がっていることを信じることができる存在。
「何を贈ってくれたんだろう?・・・ぷぷっ。」
ガサガサと包みを開けてみると、大ちゃんが次々にこなしているであろう舞台のパンフレットやサンプル写真やら。
「も~。手抜きしたな。釣った魚に餌はやらない、ってやつ?」
ぶつぶつと文句ばかりが口をついて出てくるのに、頬がゆるむのを抑えられない。
だって、どんなブランドバックよりも、お洒落なアクセサリーよりもうれしかったから。
自分はここでがんばっている。
だから、お前もがんばれよ。
そんなメッセージが込められている気がして。
「あーあ。また一段と遠い存在になっちゃったね。」
誰でも知っているような名だたる俳優・女優さんと並んで笑っている大ちゃんを見ると
誇らしい反面、寂しい気分にもなる。
その位置に並ぶことよりも自分の夢を選んだのは自分。
充実した毎日に後悔なんてヒトカケラもしていない。
・・・でも。でもね。
<プレゼントありがとうね。なーんか、手の届かない存在になっちゃったね>
<・・・んなことないよ。自分の至らなさに落ち込みまくる毎日だよ。
だって、~~さんも~~さんもスゲーんだぜ?レベルが違うっつーか>
<ふふ。がんばってるんだね>
<おうよ。もう、必死で喰らいついていっているさ>
タバコを吸いながら、ソファに座ってる。
くるくると表情を変えながら、今は笑い皺ができてる。
<よかった。言葉ほど落ち込んでなさそうで>
<・・・ん?どうしてわかるんだ?>
<・・・だって、大ちゃん笑ってるもん>
<見えてねーだろ?>
<・・・そーだけど、雰囲気っていうか>
網膜では見えないけど、感じてしまうのだ。
彼の思いや感情を。
<・・・だって、自分が未熟だって痛感できるぐらい大きな舞台に立ててるってことでしょ?>
<だよな>
<それって、すごいことだよね?>
<・・・約束したからな>
離れていても見失わないぐらい、お前の目標になってやる、と。
<・・・いい男だろ?俺>
<・・・ばっか。自分で言う?>
<惚れなおしたくせに>
<・・・否定はしないけど>
さらり、と言葉にしているけど、大ちゃんがどんなに強い意志をもって努力したか知っている。
側にいて見ていたわけじゃないけど、ちゃんと感じる。
<ありがとうね。元気、出た>
<だろ?>
逃げ出したいとは思わないけれど、自分の選んだ道があまりにも過酷で。
努力しても努力しても才能には叶わない。上には上がいる。と思い知らされる毎日で。
自分の成長を振り返るより、置いていかれそうな焦りに足元がぐらぐらと崩れそうで不安だった。
<やっぱ、大ちゃんって凄いよ>
<お前もだろ?新しい世界に飛び込んで、一人っきりでがんばってさ>
<そーだけど>
<俺はお前の生き方を尊敬してる>
<・・・ありがと>
<誕生日、おめでとう。まお>
飾りのない言葉が、心に染み入る。
今、この瞬間、世界一幸せなのはきっとおれだろう。
どこにでもある日常かもしれない。
人から見たら、特別なにが幸せなのかわからないかもしれない。
それでも。
幸せ。というものは、自分の心で量るものだから。
貴方の愛を受け取って、またひとつ成長しよう。
25歳の自分に誇りが持てるように。
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一日早いですが、まお君の誕生日のお話です^^
普段馬鹿なことばっかり言って、呑気に生きている私ですがWW
自分で自分の過去のお話を読んで「はっ。」と気がつかされることがよくあります。
今年はなんだかだめだめな精神力だなあ。となんとなく感じてみたりW
やっぱり、創作意欲がめらめらしているときは、多分自分自身の価値観もキラキラしているんでしょうね。
そんなダメダメな私とは裏腹に、まお君はキラキラとがんばっていることと思います!
お誕生日、おめでとう!
まお。