「あれェ?どこいっちゃったんだろう・・・。」

レポートで使う予定だった資料が見つからずに、部屋のあちことをガサガサと探る。
目的の資料はちっとも見つからないのに、
見つかってもしょーがないじゃん、ってゆーペンのキャップが出てきたり。
あとで整理しょうと思っていた雑誌の山が雪崩を起こしたり。

一人で大騒ぎしているのに、誰も突っ込んでくれないのが寂しい。
独り言をつぶやきながら、過ぎてゆく時間に違和感を感じる。

「ほら。どこ探してんだよ?」

後ろから、聞きなれてた声が聞こえたような気がして振り返るけど、
探し物ついでに散乱してしまった部屋があるばかり。

お目当ての資料とともに、心のどこかでいつも探している笑顔に会えたような気がしたのに。

「・・・だよなあ。」

一人っきりの生活に慣れたつもりになっているだけだと痛感するのは、こういう瞬間。

あの部屋では。

探したつもりになっていた場所から、いとも簡単に見つけだしてれた。
「大ちゃんすごーいっ!」って感動してたら
「お前が抜けすぎてるんだろ?」ってデコピンされたり。

当たり前すぎる日常は、幸せの中にいる実感さえ、
忘れてしまうぐらい自然なことだった。


「大ちゃん、どうしてるかなあ・・・?」


画面をタップすれば、いつでも愛しい恋人の笑顔で溢れていて。
履歴を開けば、すぐに心躍るような名前が羅列していて。

スマホさえ持ち歩いていれば、いつだって大ちゃんの側にいるような気がしていた。

・・・だけど。

オンラインで課題を提出したり、友人と連絡を取り合ったり、
この便利な機械を触る機会はいくらでもあるのに、段々と大ちゃんから離れてゆく気がする。

埋め尽くされているのは、ニューヨークのよく行くお店の情報だったり、
友人のメルアドだったり。

それが悪いとは言わないけど、遠くに来ちゃったんだなあ。と、ふと思う。
マンハッタンの空は日本よりもずっと高くて、青が濃い。



「・・・あ。」

机の引き出しの奥底に、探していた記憶。
インクの香りと共に、ふわりと甘く切ない感情が立ち込める。

「いつか、プライベートで来たいね。」

真っ青な空の下で約束した日。
終わりがくることなんて、考えもしなかった笑顔。


「・・・だい、ちゃ・・・。」


泣かない。って決めた。

夢を実現するまでは、一人でがんばる、って決めた。


だけど、会いたくて、会いたくて。


この笑顔が見たくて・・・・。



ぽろり。



堪え切れなかった想いが、一粒の涙になって頬を伝う。



「もっと、強くならなくちゃ。」


手の甲で乱暴に涙をぬぐって、笑顔を作る。


「だいじょうぶ。まおは、強い子だから。」





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うっひゃあW
あまりにも久しぶりすぎて、文章にならない・・・。
最近、二人でいる大まお、が浮かんでこないんですよね~~W

なんとなく、切ない気分になったのです・・・。