「おっはよ~~!ハルちゃんっ!!・・・ってサバぁ?」

マコちゃんと並ぶ背中に抱きつくと、アスファルトにぼとっ!と青銀に光る塊が落ちる。

「・・・って、寝癖もひどいし~~!寝坊したの?」

口の中に僅かに残ったサバをもぐもぐしながら、ふてくされたように答える。

「・・・マコトが迎えに来なかったんだよ。」
「・・・もしかして、マコちゃんが朝起こしてあげてるの?」

まさか。
でも、この二人ならありえる・・・。

「違うよ。ナギサ。いくら何でもそこまでは・・・。」

でも、似たようなもんだけどね。

と、ニコっとはにかんだ笑顔を浮かべるマコちゃんは、なぜだか嬉しそうだ。

「ハルは俺が行くまで風呂からあがんないんだよね。」
「・・・水に浸からないと、目がさめない。」

「あははっ!ハルちゃんは人魚だからねえ。
王子様が現れないと、人間に戻れないんだよね?」

遅刻しているというのに、全然焦ったところのないハルちゃんは、
てくてくと当たり前のようにマコちゃんの隣に並んで歩いている。

「でもさあ。ちゃんと起きてるなら、せめて朝ごはん食べておくとか。
・・・ってゆーか、自分からマコちゃんを誘いに行ったらいいんじゃないの?
ハルちゃんは坂を下るだけなのに、マコちゃんわざわざ階段を往復してるんでしょ?」

「っ・・・・。」

今、初めて気がついたように、ハルちゃんの瞳孔が開く。

「・・・もしかして、今まで気がついてなかったとか?」
「・・・いや。いいんだよ。ナギサ。俺がしたくてしてることなんだからさ。」

それ以上言わないで。と、マコちゃんが、顔の前でふるふると手を振りって否定する。
ハルちゃんが気がついて「もう、来なくていい。」となったらどうするんだ?
と、目で訴えてくる。

・・・まあ、確かにね。
「今度から俺が迎えに行く。」じゃなくて、「もう来なくていい。」とか言いそうだもんね。
本当は寂しいくせに、言えなくて、二人の仲がギクシャクするのも嫌だしね。

「ふーん・・・。ま、マコちゃんがそれでいいならいいけどさ。」

・・・ハルちゃんって、人魚というより、意外と女王さまだったんだね。


「・・・マコちゃん、がんばれ!」

こそっと耳打ちすると、「うん。」と照れたように笑う。


いっこ上のはずなんだけど。

ほんと、この二人ってかわいい。


「じゃあ、正門まで競争ーーーーっ!」
「って、誰が決めたんだよっ!」

「だって、ほら。予鈴まであと5分きってるよ~~?」
「ほんとだっ!行くよっ!ハルっ!」


ハルちゃんの手首をつかんでダッシュするマコちゃん。
なされるがままに。でも世話を妬かれるのは内心嬉しい。
と、マコちゃんの後を走るハルちゃん。


いつまでも、こんな毎日が過ごせたらいいな。



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ナギサ目線です~~^^
どこをどう切り取ってもマコ×ハルな二人なので、いくらでもネタはあるのですがW
敢えて階段を登ってまで迎えにゆくマコちゃんって、やっぱり尽くし系攻めだよね!