「まおっ!ニュース!ニュースっ!!」
「どうしたの?興奮して。」

電話の向こうから、時差を感じないぐらいの勢いの恋人の声が聞こえる。

「この前のさあ。南太平洋の舞台、とうとう、海を渡ったよ!」
「海って?」

まさか、まさか。ニューヨークにやってくる・・・。
は、ないか。

「北海道公演が決まってさあ。
やっぱり、ブロードウェイミュージカルは違うよなあ。」
「わ!そうなんだ。おめでとーっ!!」

遠く離れた我が故郷で、着々と力をつけ、階段を登っている恋人をうれしく想う。
共に語っていた夢が、ひとつづつ現実になってゆくのが、我がことのように誇りに想う。

「がんばってるんだね。大ちゃん。」
「・・・お前もな。」

いつもおれを認めてくれる言葉は、耳に心地よくあったかい。

「でも、ほんとすごいよね。この調子で、いつかはブロードウェイにも来てよね。」
「うわっ!お前、急にハードル上げるなあ。」
「できるでしょ?大ちゃんなら。」

舞台でいただいた花束を両手いっぱいに抱えて、ブロードウェイを並んで歩こう。

「そのときは、友情出演させてよね。」
「ハリアット役で?」
「・・・ふふっ。」
「何、笑ってんだよ?」

おどけたように言う大ちゃんの声の後ろで、馬場っちが
「生生しすぎるから、却下!」と、笑っているのが聞こえた気がした。

「ほんとに、そんな日がくるといいな。」
「・・・くるよ、きっと。」

遠い遥かなる夢を語るようで、だけど希望に満ち溢れている瞳がとても好きだった。

きっと、今も。

あの熱っぽい瞳で語っているに違いない。


叶いそうにもない遥かなる夢だとしても、絶対に叶えてやる!
と、諦めずに努力すれば、必ず昨日の自分よりも夢に近い場所にいる。


そうだよね。大ちゃん。


いつまでも、貴方はぼくの憧れ。


そうやって、背中で示してくれるから、ぼくもがんばれる。



いつか、きっと。



夢は叶う。と信じられる。






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ただいま絶賛はまり中のアニメ「free!」
主人公の名前が、遥。なのでWW

いいよな~~、ハルって響き~~///と、いうことで、「遥かなる」
から連想するお話を描いてみました^^

毎日お仕事が楽しく元気なので、お話も浮かぶようになりました^^