「あー・・。あ。あ。」

寒さに負けて、ついつい暖房を入れたまま寝てしまった。
起きるなり喉に違和感を感じて、手のひらで押さえる。

「しくじったなあ。」

声がでない。というわけではないけれど、声がのどにひっかかる。

「まお~。」

と、呼びかけて、アイツは遠い空の向こうだったことに気がつく。


棚の上には、からっぽのキャンディー・ボックス。

いつもこの季節には、カラフルなキャンディーがぎっしり詰まっていた。


少しでも、喉を押さえたりしてようものなら、

「大ちゃん、喉痛いの?ほら、のど飴。」

と、とびっきりの笑顔で、まおの手のひらの上にカラフルなキャンディーがのっかっていた。


からっぽのボックス。
からっぽの心。


お洒落なまおが気に入って購入したボックスは、主を失って静かにたたずんでいる。

言葉も発っせずに、じっと帰りを待っているボックスは寂しそうに見えた。


「帰り、のど飴でも買ってくるかな。」





袋から取り出して、一粒づつボックスに入れる。
コトン・コトンと音をたてるたびに、満たされてゆくボックスと己の心。


いっぱいになったボックスを振ると、カラカラと軽快な音をたてた。


「風邪、ひいてんなよ。まお。」


人のことに気をつかうくせに、人一倍寒がりなまおのほうが、暖房が欠かせない。

今頃、エアコンをガンガンに効かせたままソファでうたたねでもしているかもしれない。



キャディー・ボックスをゆらゆらと揺らしながら、遠く離れた恋人の寝顔を思い浮べるのだった。



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お話でもかこうかな~。
可愛いタイトルにしたいな~~。
と、いうところから、キャンディー・ボックス。ということで^^

私自身は、こういうお洒落心のカケラもないのですが(笑)
一人暮らしで神戸に住んでいたころは、お洒落な雑貨屋さんがたくさんあったので、
それなりにインテリアに凝っていたものです^^
・・・今は予算と時間を考えると、効率性が一番!!できるだけシンプルに!と、思ってしまいますが~~。

こういう生活を楽しむひと手間、と言うものは、大切な人を思うゆとりに繋がると思うんですよね^^