触れるだけのキスを落とした唇がゆっくりと離れてゆく。
初めて直に感じたぬくもりが、ぼくの世界に余韻を残す。
キス、したんだ・・。
言葉はなくても、そっと触れるだけの唇が何よりも雄弁に語っていた。
この友情とも愛情ともつかない関係を、とても大切に思っていてくれていること。
ぼくの世界を壊さないように、そっと手を差し伸べようとしてくれていること。
キラキラと光る星空の中に、彼がいる。
「・・・ごめんね。」
微笑とも、苦笑ともとれる複雑な表情をしてぼくを見詰める。
「・・・なんだか、急にキスしたいと思ったから。驚かして、ごめん。」
「・・・いえ。ぼくも、したい、と思っていたので。」
キスごときでぼそぼそとつぶやきあう自分たちがこそばゆい。
今までもっと大胆なことを散々経験してきたというのに。
本当に大切なもの。はきっと。
初恋のようにやわらかくて、あたたかい。
「・・・手、繋いでてもいいですか?」
「・・・もちろん。」
どさり、とふたたび上を向いて寝転んだ彼が、ぼくの怯えた心ごとなだめるように冷えた掌を両手で包み込む。
「・・・もし、迷惑でなければ。君の名前を聞いてもいいかな。」
もうとっくに恋に落ちて、心を奪われていたというのに。
長年培ってきた癖というものは、そう簡単に抜けたりしない。
本当の自分を見せても大丈夫だろうか?と疑い深く息をひそめてすごしてきた毎日。
この人ならば、大丈夫。と差し出そうとするのに声が喉にひっかかってうまく話せない。
「・・・空。・・・野々村、空です。」
「・・・くう?」
途切れ、途切れのぼくの言葉を拾い集めるように彼が問う。
「そら。って書いて、くう。って読みます。全然、空。って感じじゃないんですけど。」
「・・・そうかな?この広い空のように。全てのものを包み込むような優しさが、君にはあると思うけど。」
射抜くような綺麗な瞳で真っ直ぐに見詰められて、鼓動が跳ねる。
裸に剝かれて、臆病な不安定な自分を見透かされているようだ。
「・・・そんなこと、ないです。人と深く関わって傷つくのが怖いから。周りに流されているだけで・・・。」
「もしかして、気がついてない?・・・君は自分が傷つきたくないんじゃなくて、人を傷つけたくないから周りに合せてるんだろ?」
惚れっぽくて、学習能力がなくて。
同じ間違いを繰り返しては、落ち込んで、投げやりになって心を閉ざして。
本当は、どーしようもないヤツなのに。
一度だって、友人に自分の性癖を打ち明けたことなんてなかったけど。
優等生で気配りができて、男女別け隔てなく優しくて。
まるで欲というものを感じられない年齢の割りに落ち着いたヤツ。
そんなふうに信頼してくれている友人を、裏切りたくなかったのかもしれない。
「・・・空。空。」
髪の毛越しに、何度も額に唇を押し付けられ、名前を呼ばれる。
名前を呼ばれるたびに、綺麗すぎる「空」が、ぼくの中に染み込んでくる。
「・・・本当は、この名前が好きじゃなかったんです。
真っ青な青空に申し訳ないような気がして。自分の名前なのに、別の誰かが呼ばれているような違和感があって。どっちかと言うと、真っ暗な星空のほうが落ち着くんです。」
「・・・それって、性癖のせい?」
ためらいがちに、彼が問う。
ぼくが罪悪感を持つ、ということは、同じ性癖を持つ彼を責めるのと同じ。
だけど、ぼくの戸惑いにそっと寄り添うように接してくれる。
「青空だって、星空だって、同じ空。だろ?
季節によって見えたり見えなかったりするけど、変わらずに存在している天の川と同じ。
無理して青空になろうとしなくても、いいんじゃないかな?・・・空。」
「・・・そうですね。」
少しづつ。少しづつ。
ぼくの心を彼に預けていって。
いつか自然に息ができるようになればいい。
青空も、星空も、同じ空です。と、言える日が来ればいい。
無数に瞬く星を眺めながら、君たちも昼も夜も存在してるんだよね。
と、話かけた。
------------------------------------------
別館でもびっくりするぐらい反応のないこの作品(笑)
だけど、結構自分の中ではお気に入りの世界観なので、がんばって仕上げようと思います(笑)
どーも根が暗いのか?自己満足で描くお話は暗いものが多いですねWW
昨日は休日出勤だったため、本日はお休みをいただきました^^
次男が自然学校の代休でお休みなのですが
「え~~。ママ休みなん?仕事行ってよ~~。ゲームできひんやん。」と言われてしまいました(笑)
頼もしいやら、寂しいやら(笑)
同級生が遊びにきて、willをしだしたので、散髪にでも行ってこようと思います^^
今ぐらいの長さとボリュームがあったほうが、癖があるので可愛く?まとまるのですが。
ドライヤーが面倒臭い(笑)
初めて直に感じたぬくもりが、ぼくの世界に余韻を残す。
キス、したんだ・・。
言葉はなくても、そっと触れるだけの唇が何よりも雄弁に語っていた。
この友情とも愛情ともつかない関係を、とても大切に思っていてくれていること。
ぼくの世界を壊さないように、そっと手を差し伸べようとしてくれていること。
キラキラと光る星空の中に、彼がいる。
「・・・ごめんね。」
微笑とも、苦笑ともとれる複雑な表情をしてぼくを見詰める。
「・・・なんだか、急にキスしたいと思ったから。驚かして、ごめん。」
「・・・いえ。ぼくも、したい、と思っていたので。」
キスごときでぼそぼそとつぶやきあう自分たちがこそばゆい。
今までもっと大胆なことを散々経験してきたというのに。
本当に大切なもの。はきっと。
初恋のようにやわらかくて、あたたかい。
「・・・手、繋いでてもいいですか?」
「・・・もちろん。」
どさり、とふたたび上を向いて寝転んだ彼が、ぼくの怯えた心ごとなだめるように冷えた掌を両手で包み込む。
「・・・もし、迷惑でなければ。君の名前を聞いてもいいかな。」
もうとっくに恋に落ちて、心を奪われていたというのに。
長年培ってきた癖というものは、そう簡単に抜けたりしない。
本当の自分を見せても大丈夫だろうか?と疑い深く息をひそめてすごしてきた毎日。
この人ならば、大丈夫。と差し出そうとするのに声が喉にひっかかってうまく話せない。
「・・・空。・・・野々村、空です。」
「・・・くう?」
途切れ、途切れのぼくの言葉を拾い集めるように彼が問う。
「そら。って書いて、くう。って読みます。全然、空。って感じじゃないんですけど。」
「・・・そうかな?この広い空のように。全てのものを包み込むような優しさが、君にはあると思うけど。」
射抜くような綺麗な瞳で真っ直ぐに見詰められて、鼓動が跳ねる。
裸に剝かれて、臆病な不安定な自分を見透かされているようだ。
「・・・そんなこと、ないです。人と深く関わって傷つくのが怖いから。周りに流されているだけで・・・。」
「もしかして、気がついてない?・・・君は自分が傷つきたくないんじゃなくて、人を傷つけたくないから周りに合せてるんだろ?」
惚れっぽくて、学習能力がなくて。
同じ間違いを繰り返しては、落ち込んで、投げやりになって心を閉ざして。
本当は、どーしようもないヤツなのに。
一度だって、友人に自分の性癖を打ち明けたことなんてなかったけど。
優等生で気配りができて、男女別け隔てなく優しくて。
まるで欲というものを感じられない年齢の割りに落ち着いたヤツ。
そんなふうに信頼してくれている友人を、裏切りたくなかったのかもしれない。
「・・・空。空。」
髪の毛越しに、何度も額に唇を押し付けられ、名前を呼ばれる。
名前を呼ばれるたびに、綺麗すぎる「空」が、ぼくの中に染み込んでくる。
「・・・本当は、この名前が好きじゃなかったんです。
真っ青な青空に申し訳ないような気がして。自分の名前なのに、別の誰かが呼ばれているような違和感があって。どっちかと言うと、真っ暗な星空のほうが落ち着くんです。」
「・・・それって、性癖のせい?」
ためらいがちに、彼が問う。
ぼくが罪悪感を持つ、ということは、同じ性癖を持つ彼を責めるのと同じ。
だけど、ぼくの戸惑いにそっと寄り添うように接してくれる。
「青空だって、星空だって、同じ空。だろ?
季節によって見えたり見えなかったりするけど、変わらずに存在している天の川と同じ。
無理して青空になろうとしなくても、いいんじゃないかな?・・・空。」
「・・・そうですね。」
少しづつ。少しづつ。
ぼくの心を彼に預けていって。
いつか自然に息ができるようになればいい。
青空も、星空も、同じ空です。と、言える日が来ればいい。
無数に瞬く星を眺めながら、君たちも昼も夜も存在してるんだよね。
と、話かけた。
------------------------------------------
別館でもびっくりするぐらい反応のないこの作品(笑)
だけど、結構自分の中ではお気に入りの世界観なので、がんばって仕上げようと思います(笑)
どーも根が暗いのか?自己満足で描くお話は暗いものが多いですねWW
昨日は休日出勤だったため、本日はお休みをいただきました^^
次男が自然学校の代休でお休みなのですが
「え~~。ママ休みなん?仕事行ってよ~~。ゲームできひんやん。」と言われてしまいました(笑)
頼もしいやら、寂しいやら(笑)
同級生が遊びにきて、willをしだしたので、散髪にでも行ってこようと思います^^
今ぐらいの長さとボリュームがあったほうが、癖があるので可愛く?まとまるのですが。
ドライヤーが面倒臭い(笑)