「・・・疲れた・・・。」

全身筋肉痛になったんじゃないかってぐらい、ガッチガチになったこりをほぐす元気もなく、教卓の上につっぷす。

「長い一日だった・・・。」

とは言え、時計はまだ3時を過ぎたところで、まだまだ昼まっさかりである。
ぐでーっと某キャラクターのようにぐでていると、後頭部に鈍い痛みが走る。

「・・・いてっ!」
「何へたばってんだ。お前の仕事はこれから、だぞ?」
「え~~。」
「文句言わない!」

視線だけで上を向くと、貴水先生がチェック表のようなものを片手に冷ややかな視線で見下ろしていた。
・・・う。
綺麗に切れ上がった目尻と完璧なラインを描く眉。すうっと整った鼻筋はまるで彫刻のようだ。
立ち居振る舞いも隙がないけど、外見までも突っ込みようがないから辛い。
・・・こう、この人には馴染みやすい、という逃げ場はないんだろうか?

学生時代はおちゃらけた元気ものキャラで通ってきた自分の周囲にはいなかったタイプで。笑ってごまかせ。という逃げ切りができない。

ドン!と積み上げられた資料の山・山・山。

「ほら。これに全部目を通して、生徒の個性を把握してデータにまとめて。」
「今日中に、ですか?」
「当たり前だろ?担任なんだから。」

教師って一日中生徒と戯れていうイメージがあったけど、意外と事務仕事が多いんだ。デスクワークも暗記も苦手なのに。
こんなことならば、もっと情報処理の講義を真面目に聞いておけばよかった。

「あ。あと、今日の振り返りのレポートと経験事項のチェックリストも記入しておけよ。」
「・・・鬼。」

身も心も疲労困憊だというのに。
一日頑張ったね。ご苦労様。ぐらいのねぎらいの言葉ぐらいあってもいいじゃないか。

きれーなおねーさん先生に冷たいコーヒーの差し入れでも御馳走になりながら、優しくわからなかったところを教えてもらっていた予定だったのに~~。

オフィスラブの欠片も感じない殺伐とした空気の中、何が悲しくてヤローの先生と二人っきりでしごかれなきゃならないんだろう??
人当たりのよさそうな校長で、面倒見のいい美人な先輩がいて。
明るい未来が待っている、と思っていたのに!

「世間はそんなに甘くない、ってことを思い知ったか?新人くん。」
「新人くんじゃないです!志方大介ですっ!!」

「じゃあ、一日も早く志方先生って認めてもらえるように頑張るんだな。」
「~~~っ!!」

担任、という時点で先生じゃないかっ!!
とは思うけれど、確かに今日の自分のいっぱいいっぱいぶりを振り返ると、先生などと言うのはおこがましいような気もする。

・・・見てろっ!!!
一日も早く一人前になってぎゃふんと言わせてやるっ!!



-------------------------------------

最初は新人先生が受け設定だったのですが、自分の中で反対になりつつありますW
これ、先輩絶対ツン受けだわ~~。年上受け!!
・・・大まおばっかり描いてしますが、実は高校生攻め×教師受けとか大好物です(笑)

まだまだラブの香りはしてきませんが。

みなんさんはどちらが受け好みですか?