「ふぅ。」

シャワーのコックを締めて、雫を払いのけるように髪の毛をかき上げる。
足元にポタポタと落ちる水滴が、我が家に帰ってきたんだなあ。と実感させる。

ユニットバスで汗を流すだけの生活にも慣れていたけれど、やっぱりこの密室感は安心する。
日本人だったんだなあ。と実感する瞬間だ。

タオルで頭を拭きながらドアを開けると、真っ白なキャンバスに包み込まれた。

「わっ。」

ふんわりした感触に抱き締められて、悪戯の主の肩に鼻先をこすりつける。

「びっくりするじゃないか。もう。」
「だって、待てなかったんだもん。」

バスタオルごと俺を包み込んでいるのは、甘えた声で拗ねる恋人だ。

「ちょっとふっくらした?まお。」
「・・・そっかな。食生活がどうしても、ね。」

ラインが記憶と違う、と引かれるかな?と少しばかり気になってバスタオルに包まると、
タオル越しにお尻の丸みを撫でられた。

「抱き心地よくなった。まおは、もうちょっと肉がついてもいいぐらいだよ。」
「・・そういう大ちゃんは、ちょっとスリムになってるくせに。」

「いいんだよ。俺は。そろそろメタボを気にしないといけない年頃だしな。」
「・・・メタボって!」

クスクスと笑いながら、キスを交わし、じゃれあう。
独りの生活も慣れたけれど、やっぱり抱き締めてくれる腕があるというのはいい。

ふかふかのバスタオルからはいい香りがする。
柔軟剤の効果だけではない、心が薙いでゆくような香り。

大ちゃんが俺のために用意してくれた居場所。

ごろり、と二人でバスタオルごとベッドにもつれるように倒れこむ。
頬を包み込みながら、穏やかな表情で大ちゃんが笑う。

「なーんかさ。焦ってても仕方がないっつーか。
今、自分にできることをするしかないんだな~。って思えるようになったんだよ。」
「うん。なんだかね。とっても自然体な感じがするよ?」

なんだんだろう。この感覚は。

お互いに、何があっても愛しているという自信というか、安定感というか。

離れることで、不安になるかと思ったのに。
久しぶりに会って、変化に戸惑うどころか「やっぱりこの人が好きだ。」とお互いに認識しあう。

「大ちゃん。好きだよ。」
「今更だろ~~。」

胸板に鼻先をこすりつけながらささやくと、ぐしゃぐしゃと頭を撫でながら
「愛してるよ。」とささやき返してくれる。

俺を受止めてくれる真っ白いキャンバス。

今度は、どんなふうに変化してゆくのだろう?



-------------------------------------

ちょこっとだけお話W
内容はありませんが~。ほんわかしたリアル大まおさんなイメージです^¥^