「いってらっしゃい!」

ぎゅ。とハグをしてから、ぽんっ!と背中を叩いて送りだす。
「俳優、渡辺大輔」にスイッチオンするためのおまじないのような儀式。



日本に帰ってきて一番に思ったことは。
余計なものをすべてそぎ落としたかのような印象にびっくりした。

うるうるした色気だとか。
ぎらぎらした欲望だとか。
ふわふわした甘さだとか。

「・・・なんか、大ちゃん変わった?」
「そっか?」

ふわ。と微笑んだ笑顔は何一つ変わっていないんだけど。
抱き締められた瞬間に、ざわざわしていた心がないでゆくのを感じたんだけど。

「強いて言うなら。
・・・お前が、いなかったから、かな?」

俺の肩に鼻先を埋めて、においをかぐようにこすりつけてくる。

「・・・寂しかった?」
「・・・くない。と言えば嘘になるけど。慣れたのも事実、かな?」

恋人としての正解の答えを言うなれば。
お前がいなくて死にそうだったとか。
一日中お前のことを考えて仕事にも身が入らなかった。だとか。
そんなセリフを期待するものなのだろうけれど。

ほんのちょっぴりの寂しさよりも、安堵のようが勝った。

「・・・そうだね。俺も。
毎日必死で。寂しさなんて感じている暇んなんか、なかったよ?」

きっと俺だって変わっている。
久しぶりに会った友人に「まお、男っぽくなった。」って言われたのだから。

24時間お互いのことが最優先で、狂おしいほどに愛し合っていた時間が無駄だったとか、
間違っていただなんて思わない。
お互いの歩もうとしている道を確実なものにしようとしている大切な時期に、離れる勇気とか余裕だとか、そんなものがもてるようになったことは成長なんじゃないかと思う。

だからって、愛情が冷めたとかではないのだけれど。
今の妙にさっぱりした大ちゃんのオーラも好きだ。




「じゃあ、行ってくる。」

ほんの少し名残惜しそうに、甘さを残して離れた腕は。
俺に背中を向けた途端に「仕事に向かう男」の背中になっていた。

「うん。成功するように祈ってるね。」

ぽん!と押し出す手のひらにも、迷いはない。
以前は、地方公演で長期離れるたびに寂しさが募っていたのに。


パタン。と閉じられたドアを眺めて腕まくりをする。


「さ~て!俺もデザイン画でもおこしますか!」


大ちゃんは、大丈夫。

眩しいライトに照らされた大きな舞台。
大先輩に囲まれたカンパニー。

自信に満ち、それでいて気負うところのない背中。


もう、あの背中を追いかけることはない。


しっかり見届けたから。


俺は、俺のなすべきことを、しよう。



机に向かうと、すべての邪念が遮断され、自分の世界に入り込むのを感じた。





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これ、いいのかなあ??WW
大まおとして。
でも、なんとなく最近の大ちゃんには甘さ??がない。と感じるのです。
肉欲を感じないとでも言いましょうか。。。(笑)

でも、イチャラブだけじゃない大まおさんも実は理想でありまして^^

なんとなく、とってもお互いのことを信頼して、お互いの世界に熱中しているのかなあ?とも思います^^

まあ、これは個人的な感想なので、こんなの大まおじゃなーいっ!と感じた人がおられたら、ごめんなさいWW