音楽に合せて身体を動かしていると、余計な雑念が抜け落ちてゆく。
その場限りの楽しい会話と、アルコールが、感覚を麻痺させてゆく。

曇りガラス越しに世界を見詰めているような、すっきりとしない頭。
自分でない何者かが動かしているような気がする心臓。

不安だとか、絶望だとか。
深く暗いものが、ひっそりと俺の隣に腰をかけていそうで。
じっと座っていると落ちつかなくなる。

・・・一体、何に怯えているというのか?
何から、逃れようとしているのか??

まおの背中を追っていた指先が、残像となって何度も脳裏に再生される。

俺は、あの瞬間何を思った?
腕をつかみ、引き留め、もう少し一緒にすごしたい。と願わなかったか?

名残惜しい。という感情が罪な訳ではない。
プライベートでも頻繁に会うゆんとだって、別れ際には名残惜しい気持ちになる。
まおとは、久しぶりだったのだから、何も後ろめたく感じる必要はない。

なのに、なぜだかすっきりしない。


一晩中、正体のわからないもやもやと付き合って。
重い身体を引きずって自宅に帰ると、泥のように眠った。

疲れ果てた神経が、考えることを今度は拒否するように。


「・・・あ。やっべえ。」

眠りから覚めると、ゆんからのメールが届いていた。

<じゃあ、帰るね。おやすみ>
<無事家にたどり着いた?呑みすぎ注意だよ?>

電話を切った後に送ってくれていたのだろう。
自分のことで頭がいっぱいで、すっかりスルーしてしまっていた。

眠ったせいで、少し正常な働きを取り戻した神経が、昨日の会話を思い出させる。

「ゆんには悪いことしたな・・・。」

せっかく誘ってくれていたのに、無視してしまった。


どうして昨日はあんなに不安定になってしまったのだろう。

ベッドサイドの写真をぼんやりと眺める。

・・・バラバラになってゆく4代目に、新しい門出だと言いながらも寂しさを感じていたのかもしれない。
特にまおは。
稽古でも、撮影でも、頻繁に顔を合せ、とても近しい存在に感じていたのに。
仕事で関わりがなくなると、一気に遠ざかってゆくように感じた。

俺が人恋しくなると、空気のように嗅ぎ付けて遊びに誘ってくれてたゆん。
気ままにふるまっていても、彼は離れてゆかない、という甘えがどこかに存在した。


何をやっているんだろう。

部長らしくないよ?

そんな声がどこからともなく聞こえる。

・・・らしい。って何だよ?

俺は、まだまだ子供で、みんなをまとめているつもりで、よっかかっている。
4代目を卒業して、次の道を見据えて歩みだしているみんなが・・・。

誇らしくもあり。

・・・寂しかったんだ。


会いたい。と思うと、同時に、会うのが怖かった。

過去の思い出として、語られるのが・・・。




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なかなか動きませんね~~。
しかも、また私の思惑とは違う方面にすすんでゆく大ちゃんWW
へ~、そうだったの!と新鮮な気持ちで見詰めております(笑)

大丈夫です!
でも、最後は絶対に大まおですから(笑)