「輪っかが、いっぱい・・・。」

ベッドに寝転ぶと、天窓を叩く雨粒が見える。
次々に生まれては消えてゆく、輪っかたち。

ぼくたちの部屋を訪問しては、「またね。」と去ってゆく。
気紛れにやっきたかと思えば、合流して硝子を滑ってゆく。

すごく楽しそうで、いつまでも見飽きない。


「・・・まだ、寝ないのか?」
「・・・うん。もうちょっと。」

ふかふかのベッドに彼の重みの分だけ沈み込んだベッドが心地よい。
こんなにも夜が素敵だと思ったのは、彼に出会ってからだ。

星もない夜なんて、退屈なだけだと思っていた。

「・・・真っ暗なのも、いいね。」
「そうだな。」

いつもは、満天の星を見上げながら、星の物語に想いを馳せたりするのだけれど。
分厚い雲が光を隠してしまっても、優しい時間がここには流れている。

「・・・昔は、意地悪だと思っていたのに。」
「誰が?」
「せっかくの星空を隠しちゃう雲が。」

今は、楽しい雨粒の友達を連れてきてくれる存在だと思える。


「・・・まお?」
「・・・ん。」

目を閉じて、雨音に耳をすませながら、大ちゃんの腕の中にもぐりこむ。
ふわっと鼻を掠めるコロンの香りに、すうっと心が薙いでゆく。

「愛してるよ。」
「・・・ああ。」

やんわりと世界を壊さないように、抱き締めてくれる。

羽根を広げて守ってくれるように、髪に、頬に、唇に。
優しいキスが途切れることなく降ってる。

「・・・音、ってこんなにも大切だったんだね。」

窓ガラスを打つ雨粒。
抱き締めた胸板から伝わってくる鼓動。

この世界に存在するもの全てが、息をしている証拠。

「たまには、闇もいいもんだな。」
「・・・だね。」

きらびやかな星空もロマンティックで素敵だけれど。
優しい闇に包まれた日は。

静かに。深く。

二人で、どこまでもこの闇に溶けよう。


・・・ほら。


だんだんと二人の輪郭があいまいになって・・・。


ひとつに、なる。





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お友達のくるかおちゃんのイラストのタイトルが、めちゃめちゃ素敵なタイトルだわあ///
と、思って、見えてくる映像のままに描いてみました^^

ひっさしぶりすぎてお忘れの方もいらっしゃるかもしれませんがWW
随分と以前に描いていた高原ホテルでのお二人です^^

天窓がある部屋って設定なんだよね~~!