「おつかれ~。」
「おつ~~。」
初めて立つ大舞台。
この世界を目指す者は、一度は立ってみたい。と願うミュージカル。
「テニスの王子様」
自分の力で勝ち取った。という興奮とやる気と自信にみんなが溢れ。
激しい個性がぶつかり合う。
俺は、部長であり年長者でもあり、みんなをまとめる役割を与えられた。
どちらかと言えば、可愛がられて育ってきた俺はトップに立って全体を見渡す。
と、いうことに長けていない。
俺にできるのは、みんなが楽しく過ごせるように場を盛り上げることぐらいだ。
それでも、みんなが「部長」と呼んでくれることで自覚が持て、
日を追うごとに自分の中で変化してゆくのがわかった。
・・・だが、しかし・・・。
「ああ。もうっ!どっちかが折れないと一生続くぞ?」
個性が強くて、自己主張の激しいメンバーたち。
最初のころは、正直ちょっと勘弁してくれ。と思ったが、まとめるのは大変でも長所でもある。
と、思えるようになってきた。
特徴がなくて、誰だったっけ?と首を傾げられるよりは、記憶に残る4代目、となったほうがいい。
・・・いいのだけれど。
「部長は関係ないんだから、首つっこまないで!」
仲裁に入るつもりが、返り討ちにあってしまい、やれやれと首をすくめる。
気がすむまでほうっておくか・・・。でも、そうすると、稽古がすすまない。
「お前たち、何をしにここにきてるんだ?やる気がないなら、帰れば?」
同じオーディションを勝ち取ってきた人間として、トクベツに俺だけが立場が上はわけではない。
聞きようによっては、生意気なガキだとも思える発言を敢えて厳しく言い放つ。
はっと、気がついて、稽古に熱心に打ち込むようになる・・・
ならば、苦労はしないのだが。
どうして自分が怒られないといけないのか、といった体でふてくされている。
「・・・ジェネレーションギャップっていうやつだなあ・・・。」
ふう、とため息をついていると、いつの間か隣にやってきていたゆんがぽそりとつぶやく。
「年齢の問題というより、価値観の問題だと思うけど?」
「・・なんだ。見てたのか。」
「苦労するよねえ。大ちゃんも。彼らも悪気はないんだろうけどね。
まだまだ社会人として、協調しないといけない場面もある、ってことが理解できないんだろうねえ。」
「・・・大人だな。お前。」
「一応、社会人経験ありですから。」
自分の夢。自分の実力。
確かにそうかもしれないけれど。
この舞台を作りあげるのに、たくさんの裏方の力があって。
お金が動いていて。
表現することを商品として売っている。
それを実感として持て。というのは、彼らには無理かもしれない。
自分だって、あれぐらいの年頃のころというものは、何でもできる気がしていた。
自分の未熟さに悩むことなどなかった。
「自分のために」努力するのであって、「対価として」努力するのだ。という自覚がなかった。
「・・・ま、そのうちわかってくるんじゃない?
実際お客さんの前に立てば。」
「・・・そういうもんかもな。」
ゆんの言葉は気負いがなくて、なのに核心をついてきて。
四苦八苦していた俺の心にすーっと入ってきた。
「おつ~~。」
初めて立つ大舞台。
この世界を目指す者は、一度は立ってみたい。と願うミュージカル。
「テニスの王子様」
自分の力で勝ち取った。という興奮とやる気と自信にみんなが溢れ。
激しい個性がぶつかり合う。
俺は、部長であり年長者でもあり、みんなをまとめる役割を与えられた。
どちらかと言えば、可愛がられて育ってきた俺はトップに立って全体を見渡す。
と、いうことに長けていない。
俺にできるのは、みんなが楽しく過ごせるように場を盛り上げることぐらいだ。
それでも、みんなが「部長」と呼んでくれることで自覚が持て、
日を追うごとに自分の中で変化してゆくのがわかった。
・・・だが、しかし・・・。
「ああ。もうっ!どっちかが折れないと一生続くぞ?」
個性が強くて、自己主張の激しいメンバーたち。
最初のころは、正直ちょっと勘弁してくれ。と思ったが、まとめるのは大変でも長所でもある。
と、思えるようになってきた。
特徴がなくて、誰だったっけ?と首を傾げられるよりは、記憶に残る4代目、となったほうがいい。
・・・いいのだけれど。
「部長は関係ないんだから、首つっこまないで!」
仲裁に入るつもりが、返り討ちにあってしまい、やれやれと首をすくめる。
気がすむまでほうっておくか・・・。でも、そうすると、稽古がすすまない。
「お前たち、何をしにここにきてるんだ?やる気がないなら、帰れば?」
同じオーディションを勝ち取ってきた人間として、トクベツに俺だけが立場が上はわけではない。
聞きようによっては、生意気なガキだとも思える発言を敢えて厳しく言い放つ。
はっと、気がついて、稽古に熱心に打ち込むようになる・・・
ならば、苦労はしないのだが。
どうして自分が怒られないといけないのか、といった体でふてくされている。
「・・・ジェネレーションギャップっていうやつだなあ・・・。」
ふう、とため息をついていると、いつの間か隣にやってきていたゆんがぽそりとつぶやく。
「年齢の問題というより、価値観の問題だと思うけど?」
「・・なんだ。見てたのか。」
「苦労するよねえ。大ちゃんも。彼らも悪気はないんだろうけどね。
まだまだ社会人として、協調しないといけない場面もある、ってことが理解できないんだろうねえ。」
「・・・大人だな。お前。」
「一応、社会人経験ありですから。」
自分の夢。自分の実力。
確かにそうかもしれないけれど。
この舞台を作りあげるのに、たくさんの裏方の力があって。
お金が動いていて。
表現することを商品として売っている。
それを実感として持て。というのは、彼らには無理かもしれない。
自分だって、あれぐらいの年頃のころというものは、何でもできる気がしていた。
自分の未熟さに悩むことなどなかった。
「自分のために」努力するのであって、「対価として」努力するのだ。という自覚がなかった。
「・・・ま、そのうちわかってくるんじゃない?
実際お客さんの前に立てば。」
「・・・そういうもんかもな。」
ゆんの言葉は気負いがなくて、なのに核心をついてきて。
四苦八苦していた俺の心にすーっと入ってきた。