「はいっ!」
「・・・なんだ?これ。」

朝起きると一番に渡されたリボンのかかった包み。
今日は何かに記念日だったっけか??

寝起きの頭でぼーっと考えていると、まおが愛らしい極上の作り笑顔で首を傾げる。
かわいい。
何かたくらんでいる、とわかっていても、ころっと騙されてしまうこの笑顔。

「今日は父の日、でしょ?」
「・・・って、俺父じゃねーし。」

ずるっ、とベッドから落ちそうになりながら、落ちてしまったもう一人の俺を引っ張り上げる。

「そりゃ、まおから見たらおとーさんかも知れないけどさあ。
リアルに落ち込むからヤメテ。」
「そういう意味じゃないよお。」

コロコロと鈴が鳴るように笑い、抱きついてくる。

「この前、父さんのプレゼント選んでたときに、よさそうなの見つけたから。
ほら。前にこういうの憧れるって言ってたでしょ?いつか、お父さんって呼ばれてみたい。って。」
「・・・あー・・・。そんなこと言ってた時期もあったなあ。」

小学生の子供が将来の夢は「お嫁さん」だと言うように。
まおとの関係を考えずに、単純に夢物語として将来像を描いたこともあった。
まおが隣にいて、愛くるしい娘がいて。
休日には公園に出かけて。
どちらも欲しい、などと思っていた。

「ちっちゃい子供にはなれないけど。せめて、気持ちだけでも、ってことで。
・・・いつも、ありがとっ!おとーさんっ!」

ちゅ。と抱きついてキスをくれるまおは、どんな子供タレントよりも愛くるしい。

「開けてもいいか?」
「もちろん!」

父の日にしては、若干少女趣味なパッケージは娘設定だからだろうか?
マイペースで、俺の話をじーっと聞いているだけのことが多いのに、何気なくつぶやいた言葉を覚えていて嬉しい。

「うおっ!気持ちいい~。」
「でしょ?」

包みを解くと、肌触りのよいパジャマが入っていた。

「やっぱり、パジャマほうが熟眠できるかと思って。
クーラー入れたら冷えるしね。」

普段はTシャツで済ませてしまうことが多いけれど、まおの睡眠に対するこだわり、というものはなかなかのものがある。

まあ、俺の中の睡眠に対する意識、というものも随分と変わったが・・・。

いままでは寝床があればそれでいい。という感覚だったのが、まおと過ごすようになって、
人生の1/4を占めている貴重な時間を、ただ寝るだけで終らせてしまうのがもったいなくて。

同じ空間を共有できる貴重な時間だととらえるようになった。

「・・・いい夢見れそうだな。」
「・・・でしょ?」

肌触りのよいパジャマと、愛する者が腕の中にいる安心感と幸せ。

「今日は早寝すっか?」

抱き寄せてキスをすると、意味深な瞳で誘われる。

「・・・余計に夜更かしになるんじゃない?」
「・・・そうかもな。」

幼き娘に「おとうさん。」と呼ばれないかもしれないけれど。

確かに、幸せ、はここにある。



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なんだかグズグズになってしまいましたWW
まおに「おとーさん。」と言わせたかっただけなのです(笑)

明日は父の日ですね^^
すっかり忘れていましたが、織田君と宮本さんのブログで思い出しました(笑)
・・・と、言っても毎年何をするわけでもないんですけどね~~W