美貌のスチール撮影の日がやってくる。
告白してから初めて顔を合わす日。
うまく笑えるかどうか心配だったけど、目が合った瞬間に「よっ!」と気軽に声をかけてくれて、
自然に笑みがこぼれた。
「なんか、恥ずかしいな。」
「・・・え?大ちゃんが?今更??」
スタッフさんがバタバタを用意するのを並んで眺める。
前回と同じ気心の知れたスタッフさん。
恋人同士を演じるのに、ぼくはどれもこれも恥ずかしかったけど。
大ちゃんは全然そんな素振りを見せなくて、むしろ「恥ずかしがってんじゃねーよ。」
って、怒られたぐらいなのに。
「今更。だからだよ。・・・この年になると、色々勇気がいるんだよ。」
「ふーん。そういうものなの?」
よくわかんないけど。
2作目だからこそ、責任が重くて勇気がいるんだろうか?
頼りがいのある部長!というイメージだったけれど、今日の大ちゃんはなんだかソワソワしている。
「・・なんで、お前そんなに普通なんだよ?」
「・・・え?だって、2作目で少しは現場に慣れたってゆーか、安心するってゆーか・・・。
それに、大ちゃんがいるしね。」
「・・・ちげーよっ!」
いらっとしたように、珍しく声を荒げた大ちゃんが、ぼくの手をぎゅっと握り締めてくる。
びっくりして顔をあげると、耳だけ赤くした大ちゃんがいた。
「この前の返事、まだだったろ?」
「・・・あ。」
待っていない、といえば嘘になるけど。
伝えたことで、ぼくの中ではある程度消化できていて。
そもそも、付き合うとか付き合わないとか、そんなたいそれたことは考えてなかった。
「・・・俺も、お前と同じ意味で好き、だから。」
「・・・うそ。」
夢見たいで。信じられなくて。
条件反射でぽろり。と言葉がこぼれてしまった。
「嘘なわけ、ねーだろ?散々人を悩ませておいて。
信じて、って言ったのはお前のほうじゃないのか?」
「・・・あ。うん。・・・そう、だね。」
恋って、やっぱり不思議だ。
好きになってほしい。愛されたい。って願えば願うほど、思ったとおりの答えがもらえたら、
すぐには信じられない。
別に、なんとも思っていない子から告白されたら、すんなりと受止めることができるのに。
・・・もしかして、大ちゃんも同じだった?
少しでも、ぼくのことを意識してくれてたから、すぐには信じてもらえなかった??
もし、そうだとしたらものすごく嬉しい。
「本当に、好きになってくれるの・・・?」
「・・・もうとっくに。俺の中ではお前はトクベツな存在だったんだよ。」
「・・・え?」
「色々、自分の中で乗り越えないといけないモノとかがあったからな。」
じいっと前を凝視したまま、耳だけ赤くしてぽつぽつと話す大ちゃんがものすごくかわいい。
ぼくと視線を合せてくれない大ちゃん。
・・・反対に、だからこそ、じわじわと実感が沸いて来て胸の奥がくすぐったくなる。
だって、こんな表情は見たことがない。
「ずっと、好きでいて、いいの?」
ぎゅ。と絡ませた指先に力を込めてささやく。
「・・・だから、さっきから好きだっつってるだろ?
あーっ!なんでこんなに恥ずかしいんだろう。
ちょ、なんか暖房入りすぎじゃねー??」
わざとらしくぐるりと部屋を見渡して、手で顔をぱたぱたと扇ぎだす。
「・・・好きだよ。大ちゃん。」
もう、どうしてこんなに好きなんだろう。
大人っぽくて、でっかくて、とても立ち打ちできない、って思うのに。
ぼくなんかに告白するぐらいで、こんなにも動揺して照れまくって。
「・・・本当に、大好き。どうしようもないぐらい、好き。」
あまりにも愛おしくて。
伝えられることが嬉しくて。
大ちゃんの手をぎゅ。っと握り締めながら、待っている時間中ささやき続けた。
幸せに満たされた時間。
どんどん体の中から幸せ物質みたいなものが生まれてきて、無限大に広がってゆく。
ぎゅうぎゅうに押し込められた綿菓子とは、比べ物にならないぐらいの量が。
恋、ってこんなに幸せになれるものだったんだ。
切ないことも、苦しいこともたくさんあったけど。
演じるだけの恋では絶対に手に入らない感情。
ぼくは、やっと手に入れた。
告白してから初めて顔を合わす日。
うまく笑えるかどうか心配だったけど、目が合った瞬間に「よっ!」と気軽に声をかけてくれて、
自然に笑みがこぼれた。
「なんか、恥ずかしいな。」
「・・・え?大ちゃんが?今更??」
スタッフさんがバタバタを用意するのを並んで眺める。
前回と同じ気心の知れたスタッフさん。
恋人同士を演じるのに、ぼくはどれもこれも恥ずかしかったけど。
大ちゃんは全然そんな素振りを見せなくて、むしろ「恥ずかしがってんじゃねーよ。」
って、怒られたぐらいなのに。
「今更。だからだよ。・・・この年になると、色々勇気がいるんだよ。」
「ふーん。そういうものなの?」
よくわかんないけど。
2作目だからこそ、責任が重くて勇気がいるんだろうか?
頼りがいのある部長!というイメージだったけれど、今日の大ちゃんはなんだかソワソワしている。
「・・なんで、お前そんなに普通なんだよ?」
「・・・え?だって、2作目で少しは現場に慣れたってゆーか、安心するってゆーか・・・。
それに、大ちゃんがいるしね。」
「・・・ちげーよっ!」
いらっとしたように、珍しく声を荒げた大ちゃんが、ぼくの手をぎゅっと握り締めてくる。
びっくりして顔をあげると、耳だけ赤くした大ちゃんがいた。
「この前の返事、まだだったろ?」
「・・・あ。」
待っていない、といえば嘘になるけど。
伝えたことで、ぼくの中ではある程度消化できていて。
そもそも、付き合うとか付き合わないとか、そんなたいそれたことは考えてなかった。
「・・・俺も、お前と同じ意味で好き、だから。」
「・・・うそ。」
夢見たいで。信じられなくて。
条件反射でぽろり。と言葉がこぼれてしまった。
「嘘なわけ、ねーだろ?散々人を悩ませておいて。
信じて、って言ったのはお前のほうじゃないのか?」
「・・・あ。うん。・・・そう、だね。」
恋って、やっぱり不思議だ。
好きになってほしい。愛されたい。って願えば願うほど、思ったとおりの答えがもらえたら、
すぐには信じられない。
別に、なんとも思っていない子から告白されたら、すんなりと受止めることができるのに。
・・・もしかして、大ちゃんも同じだった?
少しでも、ぼくのことを意識してくれてたから、すぐには信じてもらえなかった??
もし、そうだとしたらものすごく嬉しい。
「本当に、好きになってくれるの・・・?」
「・・・もうとっくに。俺の中ではお前はトクベツな存在だったんだよ。」
「・・・え?」
「色々、自分の中で乗り越えないといけないモノとかがあったからな。」
じいっと前を凝視したまま、耳だけ赤くしてぽつぽつと話す大ちゃんがものすごくかわいい。
ぼくと視線を合せてくれない大ちゃん。
・・・反対に、だからこそ、じわじわと実感が沸いて来て胸の奥がくすぐったくなる。
だって、こんな表情は見たことがない。
「ずっと、好きでいて、いいの?」
ぎゅ。と絡ませた指先に力を込めてささやく。
「・・・だから、さっきから好きだっつってるだろ?
あーっ!なんでこんなに恥ずかしいんだろう。
ちょ、なんか暖房入りすぎじゃねー??」
わざとらしくぐるりと部屋を見渡して、手で顔をぱたぱたと扇ぎだす。
「・・・好きだよ。大ちゃん。」
もう、どうしてこんなに好きなんだろう。
大人っぽくて、でっかくて、とても立ち打ちできない、って思うのに。
ぼくなんかに告白するぐらいで、こんなにも動揺して照れまくって。
「・・・本当に、大好き。どうしようもないぐらい、好き。」
あまりにも愛おしくて。
伝えられることが嬉しくて。
大ちゃんの手をぎゅ。っと握り締めながら、待っている時間中ささやき続けた。
幸せに満たされた時間。
どんどん体の中から幸せ物質みたいなものが生まれてきて、無限大に広がってゆく。
ぎゅうぎゅうに押し込められた綿菓子とは、比べ物にならないぐらいの量が。
恋、ってこんなに幸せになれるものだったんだ。
切ないことも、苦しいこともたくさんあったけど。
演じるだけの恋では絶対に手に入らない感情。
ぼくは、やっと手に入れた。