「うう・・。頭痛いよー・・・。」

気がつくと、朝になっていた。
枕元を探ると、いつも起きる時間より2時間も早かった。

「今日、何曜日だっけ・・・?」

目覚ましに表示されているカレンダーを指でなぞる。

「そっか、月曜日だ・・・。学校、行かなきゃ。」

ぼくにとっては、世界がひっくり返るほどの大事件だったけど、失恋ぐらいで休むわけにはいかない。
両親と、学業もおろそかにしない。と、約束したのだから。
ぼくが俳優のお仕事を続けられるように、大ちゃんが守り抜いてくれたんだから。

「シャワーでも浴びよう。」

お気に入りの洋服がすっかりしわくちゃになってしまった。
頑張って、生きていかなきゃ。
せっかくいただいたお仕事も、ちゃんとこなさなきゃ。

家族を起こさないように、そーっとバスルームに向かう。

勢いよく熱めのシャワーを浴びていると、だんだんと頭が軽くなってくる。
大ちゃんに言われた言葉の意味を、じっくりと反芻する。

「・・・大ちゃんは、いつだって正しいんだよね。」

大ちゃんを信じて、ついてきて、間違えたことなんて一度もない。
本当に恋人を演じたから、その気になっていただけなんだろうか?
恋らしい恋をしたことがなかったから、舞い上がっていただけだろうか?

「・・・本当に?」