<今度、また共演することになったんだね。よろしくお願いします>
<・・・らしいな。3がつく作品とかって、めちゃ嬉しくねー?>

<大ちゃんの演技がよかったからだよ>
<まおも、めっちゃがんばってただろ?その熱意が伝わったんだよ>

<いやいや。監督のお陰かな?あんなに綺麗に仕上がると思ってなかった>
<確かに!我ながら、ちょっと感動しちゃったもんなあ>

違う。
こんな社交辞令が言いたいんじゃない。

<・・・久しぶりに、会えないかな?>
<そーだな。卒業してから、なかなか会えないもんな>

決死の覚悟で、打った文字なのに、するん、とあっさり返事が返ってきて、
嬉しいはずなのに、腹立たしいような気分になる。

やっぱり、意識しているのはぼくだけで。
誘われれば、すぐにでも会ってくれたんだ。

断られたら、きっと回復できんないぐらいに落ち込むくせに、二つ返事だと不満だって、
やっぱり、こんな感情は、知らない。


<じゃあ、今度の日曜日に>
<日曜?あ。そっか。まお、まだ学生だもんな>

遊園地とかだと、休みの日は混んでるよな。
どこか行きたいところがあったら、また考えておいて。

あっさっりと締めくくられた文字を、何度も開いて読み返す。
受信BOXに大ちゃんという文字があるだけで、どきどきする。

「・・・どーしよー・・・。」

自分から誘ってみたものの。
会いたい。という気持ちだけで、特に何をしたいだとか、話したいだとかがあるわけではない。

「やっぱ、映画・・・とか?」

部活三昧の毎日を送ってきてしまったから、今更休日の日の過し方。だなんて、わかんない。
ファーストフードにプール、が大ちゃんにとってはコドモっぽく感じるのと一緒で。
友人の家にたむろって、お菓子を食べながらゲームをしたり、コンビ二をはしごしたり。
そんな遊び方ができるわけがない。

映画、といっても、これまた何をチョイスしたらいいのか、わからない。
バリバリのアクションは、あまりにもムードがなさすぎるし。
恋愛モノだとなんだか気まずくなりそうだし、そもそも男二人観るもんじゃないだろうし。
やっぱ、ヒューマンもの??

「あ!洋服も決めなくちゃ。・・・美容院も行きたいなあ。」

数ヶ月ぶりなんだもの。

少しでも成長したな。綺麗になったな。って思われたい。

「デート、ってこんなに緊張するもんだったっけ・・・。」

告白されるがままに、付き合ったことぐらいはある。
でも、登下校を一緒にして、家まで送っておしまい。

学校の他の友人と何が違うの?と言われれば、何が違うんだろう?
という、レベルだった。

こんなにも、自分が良くみられたい。
少しでも、肩を並べたい。

なんて、切望することはなかった。

「はー・・・。ドキドキする。」


ベッドに入って目を閉じるけれど、なかなか寝付けない。

「・・・でも、大ちゃんは安眠してるんだろうなあ。」


手の届かない人を好きになってしまった。