終わりは必ずやってくる。

4代目卒業のとき。

個性のぶつかりあいで、まとめ役だった大ちゃんは本当に大変だったと思う。
でも、だからこそ。
馴れ合いや妥協よりも、切磋宅磨できる素晴らしい仲間になって、全員がスキルアップできたんじゃないかと思う。
本音をぶつけあったからこそ、より深く理解しあい、今ではこのメンバー以外考えられない。と思える一体感があった。

ぼくの本心だけは、ちゅうぶらりんのままだったけれど。
感涙する大ちゃんの背中を見ていると、自分の抱えているものなんて、ほんの一握りじゃないか。と思えてくる。

ねえ?
少しは、荷物は軽くなった?


何も言えないまま終ってしまったテニミュ。

もし、二人の間にある気持ちを言葉にしてしまって、ぎこちなくなったら。
二人の信頼関係が、舞台上で表現できなくなったら。

わざわざ言葉にして、せっかく手に入れた親友という指定席を壊してしまうのが怖かった。
でも、隣にいる限りぼくは苦しみ続ける。

自分の手で、ちゃんと壊してあげなきゃ。
騙されつづけるぼくと、大ちゃんの心は、きっといつか亀裂が入る。


<今日、会える?>

メールを作成しては、削除する、を繰り返す。
・・・駄目だ。
今すぐに会えないと、心がくじけてしまう。

数時間後に。なんて死刑台に上るのを待つ、死刑囚のようじゃないか。
今日は無理、と言われたら、ほっとするだろうけれど、告げることはできない気がする。

手塚と不二。でなくなったこのタイミングでなきゃ・・・。


「考えてても仕方がない。」

ぼくがここから動かない限り、永遠に騙し続ける罪悪感と戦わなくてはならない。
まお君とのことも勝手にうらやんで、いつしかまお君ををも憎いと思ってしまうかもしれない。

そっちに行きたくない。

大ちゃんを癒してあげたい。
一緒に笑いあいたい。
居心地のよい空間でありたい。

そんな存在であることを願ったはずの、大ちゃんへの気持ちが。
憎しみで穢されるのは、すべてを壊してしまうよりも怖かった。