変化はゆっくりと、でも、確実にやってくる。
「やっぱお前の部屋落ち着くわ~。」
大ちゃんがソファにゴロン。と横になるのを横目で見ながら、
お気に入りのCDをセレクトする。
「あ。これこれ。この曲好きだわ~~。このフレーズが・・・。」
流れてきた音楽に合せて、大ちゃんが口ずさむ。
特に会話はなくても、何をしてほしいのか。
何をすれば心地いいと感じてもらえるのか。
空気感とでも言うのだろうか。
二人の間には確実にそんなものがあって、
ぼくも大ちゃんと過ごす時間が最高に居心地が良かった。
「ちょ。ゆん、ちょっとピアノ弾いてよ。」
「え。今?」
「なんか、すっげーお前の生ピアノ聴きたくなった。」
相変わらずメロディーを口ずさみながら、トントンと机を指で叩いてリズムを取っている。
常に気配り上手で相手を優先する大ちゃんが、ぼくにだけ見せるわがまま。
みんなの頼れる部長であろう。とするプレッシャーを、
ぼくにだけは少し預けてくれているようで嬉しい。
預けてもらった心をそっと手のひらで包み込む。
「・・・うん。いいよ。でも、久しぶりだから、指動かないかも・・・。」
「そんな細かいこと俺にはわかんないよ。
お前が失敗した~。っつっても、いつも俺スゲーなあ。って感動してるもん。」
ソファに横になって、胸の上で手を組んで瞳を閉じる。
すっかりリラックスして、鑑賞モードに入っている。
「・・・じゃあ、ちょっとだけ・・・。」
つけっぱなしだったCDの電源を落として、電子ピアノの電源を入れる。
鍵盤に触れた瞬間のこのひんやりとする重みが好きだ。
グランドピアノには叶わないけれど、指先だけで自在に表現できる。
・・・ねえ?
この曲のこのフレーズが好きなんだよね。
初めて聞いたとき、大ちゃん感動して泣いてたよね。
ピアノの音だけが二人の空間を埋める優しい時間。
ぼくが作りだす音に、耳を傾けてくれている。
最後の一音のポーンという余韻に浸りながら、大ちゃんを振り返ると、
目を閉じたまますうすうと寝息を立てていた。
「・・・ふふっ。毎日、気を張ってるんだよね。」
どうしてそんなことをしようと思ったのかわからない。
綺麗に整った顔にかかる前髪を整えていると。
ふと、どうしようもない愛おしさがこみ上げてきて、
引き寄せられるように額にキスをしていた。
「やっぱお前の部屋落ち着くわ~。」
大ちゃんがソファにゴロン。と横になるのを横目で見ながら、
お気に入りのCDをセレクトする。
「あ。これこれ。この曲好きだわ~~。このフレーズが・・・。」
流れてきた音楽に合せて、大ちゃんが口ずさむ。
特に会話はなくても、何をしてほしいのか。
何をすれば心地いいと感じてもらえるのか。
空気感とでも言うのだろうか。
二人の間には確実にそんなものがあって、
ぼくも大ちゃんと過ごす時間が最高に居心地が良かった。
「ちょ。ゆん、ちょっとピアノ弾いてよ。」
「え。今?」
「なんか、すっげーお前の生ピアノ聴きたくなった。」
相変わらずメロディーを口ずさみながら、トントンと机を指で叩いてリズムを取っている。
常に気配り上手で相手を優先する大ちゃんが、ぼくにだけ見せるわがまま。
みんなの頼れる部長であろう。とするプレッシャーを、
ぼくにだけは少し預けてくれているようで嬉しい。
預けてもらった心をそっと手のひらで包み込む。
「・・・うん。いいよ。でも、久しぶりだから、指動かないかも・・・。」
「そんな細かいこと俺にはわかんないよ。
お前が失敗した~。っつっても、いつも俺スゲーなあ。って感動してるもん。」
ソファに横になって、胸の上で手を組んで瞳を閉じる。
すっかりリラックスして、鑑賞モードに入っている。
「・・・じゃあ、ちょっとだけ・・・。」
つけっぱなしだったCDの電源を落として、電子ピアノの電源を入れる。
鍵盤に触れた瞬間のこのひんやりとする重みが好きだ。
グランドピアノには叶わないけれど、指先だけで自在に表現できる。
・・・ねえ?
この曲のこのフレーズが好きなんだよね。
初めて聞いたとき、大ちゃん感動して泣いてたよね。
ピアノの音だけが二人の空間を埋める優しい時間。
ぼくが作りだす音に、耳を傾けてくれている。
最後の一音のポーンという余韻に浸りながら、大ちゃんを振り返ると、
目を閉じたまますうすうと寝息を立てていた。
「・・・ふふっ。毎日、気を張ってるんだよね。」
どうしてそんなことをしようと思ったのかわからない。
綺麗に整った顔にかかる前髪を整えていると。
ふと、どうしようもない愛おしさがこみ上げてきて、
引き寄せられるように額にキスをしていた。