ベッドに入ると、まおが鼻先をこすりつけてくる。

「ふふっ。俺の好きな匂いがする。」
「・・・え?今、何にもつけてないけど。」

風呂に入って、さっぱりとはしたけれど、特に「良い匂い。」と称されるようなものはつけていない。

「違うよ。香水とかじゃなくて、大ちゃんの匂いがするの。」

この瞬間が大好き。安心する。

とつぶやきながら、腕枕を通り越して、脇の下にもぐりこんでまあるくなる。
まるで、冬眠に快適な体勢を探すリスのようだ。

「後ろを通るだけで、大ちゃんの気配を感じられる香水の銘柄。ってのもいいけど、やっぱり何にもつけてない大ちゃん自身の香りがいい。」

~~の渡辺大輔ではなく、俺自身を好きだ。と言ってくれるまおの気持ちそのもののようだ。

「それにね。風呂上りの匂いなんて知ってるの、俺だけでしょ?」
「・・・そうだな。」

胴に両腕を回して、しっかりとしがみついてくる。

本当に、コイツは。

俺がどんなに全力疾走しようとも、こうやってしがみついて見失わないんだろうな。

香水の銘柄を変えたところで、俺、だとわかるんだろうな。

愛されるって、こんなに幸せなことだったっけな。


人に見せる自分というものは、どこか見栄を張っていたり、カッコよく見えるように演技していたり。

香水だって、その道具の一つにすぎない。

ありのままの自分などと言うものは、不完全で未熟で落ち込むことも多い。
価値観が合わなくて、ぶつかりあったり、衝突を避けて本音を言わずに言いたいことを呑みこんだり。

香水で飾らなくても。

不完全さも未熟さもひっくるめて、それが大ちゃんだよね。
と、受止め、愛してくれる。

ありがとう。


もちろん、もっと上を目指すために努力はするけれど。

必ず受止めてくれるという安心感があるから、頑張れるんだ。



--------------------------------

大ちゃんの言葉を借りた、後半自分のつぶやき(笑)