舞台終了後にシャワーを浴びて、ガシガシと頭を拭きながら大ちゃんがバスルームから出てくる。

「お先~~。琢磨っ!」

にかっと笑った顔は少年のようだ。
舞台から降りれば、ただの人。
舞台裏まで俳優を演じる必要はないのだけれども。

・・・ども。

「ちょっと大ちゃん最近気合抜けすぎてない?」
「ん?どこが?」

セリフとちったっけ?
と、顎に手をあてながらしばし考え込んでいる。

ほんと、自覚なし。

「あーっ。もう、そうじゃないって!」

ほんと、イライラする。

「まお君と別れたの?」
「・・・は?なんでそうなるんだ?」

と、言うことはまだ続いているということか??

「お手入れさぼってるでしょ?何より色気オーラが消滅したんだけどっ!」
「そっかなあ・・・。これでも、がんばってるつもりなんだけど。」

ぴろ。とどう見てもちょっと似合わない若作り。なTシャツを摘む。

「やっぱ、まお君が隣にいないと駄目なんだねえ。」

しみじみ、とつぶやくと「どういう意味だ?」と首を傾げている。

「無意識なんだろうね。まお君の隣にいる大ちゃんって、カッコよく見られたい。
って気合があるからか、すっごく大人っぽくてカッコよかったんだけど。」
「あー・・・。うん。そうかも。」

「あのねえ。一応人から見られる商売なんだから、まお以外の視線ももっと気にしてよね。
つーか、ぼくたちの隣では気合入らない。ってちょっと失礼じゃない?
そりゃ、役不足かもしれないけどさっ!」
「・・・いや。そんなことは・・・。」

焦って両手を顔の前で振っているけれど、明らかにまお君がいなくなってからの大ちゃんは違う。

「ライバルとしてさっ!なんだか今の大ちゃんにまお君盗られるのは、ちょっと納得いかないよ。」
「・・・はあっ!?」

艶々うるうるのセクシー大ちゃんだったからさ。
奪っちゃいたいところを我慢したのにさ。

まお君にベタベタに愛されている大ちゃんにとっては、
ぼくがライバルだなんてことさえも気がついてなかったんだろうね。

なんだか、ムカツク。

「でも、言われてみればそうかもなあ・・・。」

腕組みしながらうーんと考えている。

「やっぱさあ。側にまおがいると、まおよりも大人でいなきゃ。かっこよくいなきゃ。って思うだろ?
俺って、実は末っ子体質なのにさあ。アイツがいてくれるお陰で背伸びして頑張れる部分ってやっぱ大きいよ。」
「ふーん。せいぜい帰国したときに幻滅されないように頑張るんだね。」

「ああ。心配してくれてありがとうな。琢磨。」

誰も心配なんてしてないよっ。
ライバルとして、さっくり。と釘をさしておいたつもりが結局ノロケかよ。

揺るがない自信だよなあ。

あーあ。完敗です。
ごちそーさま。

ずっとずっと長年恋し続けてきたまお君のことだから。
ずっとずっとまお君のことを見守り続けてきた大ちゃんのことだから。

お互い自然でいられることも大切だよね。

って、どんなことでもポジティブに考えて、愛を深め合うベクトルにしか向かないんだろうなあ。




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好みの問題ですが。
私自身は今の少年っぽい大ちゃんよりも、色気むんむんの大ちゃんのほうが好きなのですWWW
黒ジャケットでちょっと俺様チックに斜め上から見下ろして欲しい////

・・・やっぱ、Mなのかしら??(笑)